籤引の国:次
『おい!女!どこへ行くんだ?』
銀の髪の女性...は男に話しかけられる。
「観光しに行くんですよ」
サラッと返す彼女の名はシュネー...旅人だ。
『ならねぇな!金を置いてけよ』
「あんた一般の人でしょうが」
『違うね、今は王だ!』
一応確認....財布には乾パンしか無い....。
寝ぼけて入れ間違えたか?
来たらぶん殴ってやろうかな...。
と思っていると...
『ではどうでしょう...ここはくじ引きによって決めましょう。牙羅牙羅なら有ります。』
『ガラガラだぁ!?』
『貴方様が本当に選ばれし者ならば...くじ引きの女神は貴方様に微笑むでございましょう』
『ちぃ...いいだろう...女!』
「女?名前は有るからな!」
『名前を言え!』
「生憎、あんたに呼んでもらうほどしょぼい名前じゃねぇんで...」
『へっ....なんだこいつ....まぁいい...どう決める?』
『この牙羅牙羅には50中10個、ハズレの白玉が入っております。アタリは赤...。先に白玉を引いた者が負けです。負けた方は勝った方の言う事を聞く。』
「まー、赤引き続ければいいんだな?よーするに」
『左様でございます。では先にする方は?』
「じゃあ、私からで」
ハンドルを掴み....
がらがらがら...からん....
赤...。
『次は俺だ』
がらがらがら.....カラン....
赤....。
張り詰めた空気のまま、
双方アタリを的確に引き続ける。
現在の排出した球数は....40....
しかし未だ出ず!
たった今、割合が1:1となった。
ここからが山。
赤...赤....赤...赤....赤...赤....赤.....赤.......。
残り2!
シュネーの番....確率16パー......。
がらがらがら...見えたのは....赤!
「どうよっ!」
男は舌打ちをする。
額には汗...。
がらがらがら.....がら....カラン.....。
『へへへへ....』
赤!
「な......」
『ざまァしやがれだぜ...残りの数は10!そしてそれは全て白玉!あんたの負けだよ』
「いや、まだだ...」
『はァ??なんでだよ...引いたって変わらねぇだろうがよ!』
「あんた...この中身が40:10でちゃんと入ってる確率は何パーセントだと思う?」
がらがらがらがらがらがら.....
「答えは0%だ...ヒトは間違える生き物...全て数えて50っ個でも、それが40:10になってる可能性はまだわかんねぇんだ....」
がらがらがらがらがら.....
「つまりこの残り10個...に....赤玉が1個...入ってる可能性だってあるんだわ....」
がらがらがらがら....カラン....
「ならば私はその可能性を信じる!」
『な、なにぃ!?』
シュネーはそれを手にする...
色は赤!
『なんでだよ?意味わかんねぇ!イカサマだ!そうだ...知ってるぞ!?お前赤玉を門で貰ったな?そしてお前はきっと逆回転で回したんだ!雰囲気作って、それでいとも容易く赤を出したかのように見せた....つまり開けてみれば中身は10個の筈だ!お前は赤玉を外から持って来たんだからな!』
宿のカウンターの男に
球を牙羅牙羅から出させると...。
1,2,3,4,5,6,7,8,9....9個!
「あらら...私の勝ちだね?」
ロビーに歓声が沸き起こった。
『認めねぇ...絶対認めねぇ....』
『では、約束通り...何を求めます?』
「そうだねぇ...。うん、有り金全部ここに置いて宿を出ましょうね〜」
『くそ、ちくしょう!こんなとこ...!』
男は荷物を抱えると金目の物は置かずに
宿を飛び出した....。
『なぜ勝てたんです?』
「頭の悪いイカサマしたんだよ」
『それはそれは行儀悪い....まぁ...再発防止のため聞かせて貰いますよ』
「えーとね...まず...赤玉...これは私が門で貰った奴を隠し持って置いて...逆回転....。話に夢中な隙にしれっと正回転にして....。球が出た瞬間に赤玉も落とす。上手く白玉をキャッチ....。」
『私は気付きませんでしたが...』
「だって気づかないくらいの速度でやったんだから...そりゃ分かんないさ」
『....そんな事が...』
「できるんだなぁ...私ならばね!」
『こう言うのもアレですが....意外としょうもないトリックでしたな...まるで防止法も思いつかないでございます。』
「勝ちゃいいの....現に助かった訳だ、もっと褒めても良いんですからね?」
『ははははは....。』
「ふふふ....あ、いい店知ってる?」
『この店は是非.....』
シュネーは紹介された店で食事を済ませ...
国中を全て満喫し、いや、全てでは無い...
貰った赤玉の限り楽しみ、次の日国を出た。
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