展覧会の絵よりBLTサンド

 丁度訪れた国で展覧会が開かれていた。

行くしかない!

旅人が一人...その会場に向かってゐた。

銀の髪を後ろで縛り、

パステルピンクの瞳は遠くを見据える...

その瞳孔は猫のように鋭く、

純白の羽織を纏う。

彼女の名はシュネー...。

朝日が照らし始めた公園を抜けて、

その会場は現れる。

普段はただの美術館らしいが...

稀に有名な美術家などの品が展示される。

まぁ、有名なのはここら一帯だけだろう。

しかし特別展示というわけで

公園の周りには出店が準備している...

食事には困らなそうだ...。

一応朝早くからオープンしており、

展覧会を楽しむ事はできる...

シュネーは遂に乗り込んだ。


 この国一の美術館だそうで、かなり広い...

だが誰も他にヒトは居ないので、

ゆったりと見て行けそうだ。

絵はそれぞれナンバーと題名が当てられ、

かなりの数となっている。

日が暮れて仕舞いそうだが...どうだろうか。


{No,21白い鳥}

一匹の白い鳥が木の枝に佇んでいる...

鳥の表情は少し潰れていてよく分からない。


{No,28厄災に踊る}

生きた生物と骨だけの生物が

楽器を持って踊っている....のだと思う...

作者は気でも狂っていたのだろうか。

よく分からない。


{No,39妖精と魔人}

魔人と妖精が口づけをする。

だが互いに刃物を突き立て合う....

よく分からない。


{No,50宙船ソラフネ}

船が帆を張り虹を翔ける...。

これは昔聞いた話の奴だろうか...

でもこれは木造船だ...

分かりそうで分からない。


{No,4堕天使と救世主}

上下点対称、そして色も逆で、

2人のヒトガタが手を繋ぐ...。

世界が終わる瞬間みたいな感じだ...

やっぱ分からない...

この作者にハッピーは無いのか。


 と....ほぼ、

というか全て"分からない"で終わった。

でも絵は何だか面白い...

故に意外と昼前には一通り全て見た

出店で少し食べたらもう一度見に来よう。

さて、今日のお昼ご飯は...

もちろんサンドイッチ。

楽だし、座らなくても食べられる...。

真っ赤なトマトとレタス、

そしてカリカリながら肉厚なベーコン...。

俗に言うBLTサンドって訳だ...

実に美味しい。

トマトの甘みとシャキシャキなレタス...

そこにじわっと広がる脂の旨味.......。

ドレッシングの香りが痺れ渡る!!

分かりやすい上にハッピーな気分だ!

組み合わせ次第でこうもなる...

料理はやはり奥が深い...。

む...あちらからもいい香りが.....

そうしてシュネーは

徐々に美術館から遠ざかって行き、

その日は動けないくらい食べて寝た。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る