同盟罷業の国

 さて....同盟罷業ストライキ....。

多くの国で...稀に見るんだが.....

色々な人々が自身の立場を向上する為に、

立場の上な人間に立ち向かう下克上...。

みたいな物だ....。

そういうのが多発するなら上手く利用して

「ストが起きてて行けませーん」

とか言って仕事休めそうだが...

私は旅人だ。

できる範囲、自分で決めて生きる。

口実を使う相手も居ないし...

私には偶に面白いだけの

迷惑行為にしか見えないけどね....。

戦っているのだから敬意は評しておくよ。


 1人の女が朝、悩んでいた。

銀の髪に『ゆるすなー』の瞳。

『金くれー』な瞳孔...。

旅人の名は『ゆるすなー』ネー....。

「うるせぇ....」

シュネーは眠れなかった。

寝ようとしてから同盟罷業が発生...。

それから忘れられそうで、

思い出して苦しむのを只管、繰り返していた。

ボサボサな髪を適当に、

それはもう適当に纏めると...。

宿を出た。

ロビー抜けて直ぐに同盟罷業の会場だ...

「このーうるさいですよーさすがにー」

『んだとテメー』『まぁ、待て...彼女は旅人だ、納得してもらおう』『そうだな...事情を説明しよう』

「ん...じゃあ聞きますけど」

『俺たちは同盟罷業してんだ!』

「見れば分かります」

『それで何と戦ってるかというと...』

「いうと?」

『給料が安いんだ!だから俺たちは怒っているんだ!』

思ってたより普通で少しガッカリした。

...なんで宿前でやってんだ...そもそも

『あとな、まだあるぞ?その社長はな!頭が悪いんだ!バナナばっか食べてるんだぜ!なんならそいつが買うバナナ代の方が給料より高いんだ!』

社長の給料からバナナ買ってるんだろうし

それは別にいいのでは?

横領なら話は別だが...

『それでな!この国の大統領を無理やり決めたんだぞ!俺たちに票を入れさせてな!選ぶのも自由な筈だ!』

うん、それはダメだと思う。

『だからな!俺たち、国を占拠したんだ!』

「へぇ....」

『今日から俺たち痩せっぽちな労働者の国だ!みんなで作るぞ!』

あなたかなりごついじゃないですか....

ん?

「この国を占拠した?」

『そうだ!もうこの国はもうとうの昔に既に私達、清浄なる労働者の国だ!俺らみたいな同盟罷業のメンバーの中で使えそうな奴から新しいトップを出してやったんだ』

.........?

「なんでじゃあ、そんな同盟罷業してるんです?もう終わったことなんじゃないですかね...?何に不満が?」

『簡単だよ、俺たちが選んだ新しいトップを、俺たちが気に入らなかっただけさ!』『そうだ!彼奴俺らの事忘れちまったんだ!汚い政治家の仲間入りさ!』『次はどいつから出そうか』『あぁ、あいつなら...』

シュネーはついさっきまで

何とはなしにガッカリしていたが...

なんやかんや面白い国だなと、

ほんのちょっぴりだけ思った。

思う事にした...。

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