一歩一歩は輪廻する

 銀髪!パステルピンクの猫目!

彼女の名はシュネー!

端折はしょりすぎかな...」

1人の旅人が荒野を歩む。

サンドイッチ片手に....

纏めた髪をゆったりと揺らしながら...

萎れた草木を横目に

確かに前進していた...。

が、

「あの木....。」

なにか不審に思い進むが....。

ただの木だ。何も無い。

迷っていてもしょうがないので、

再び足を進める。

だが....

また1本の木....

少し走って見る.....

しかし1本の木を越えた瞬間に、

また木が同じ感覚で現れる....。

間違いない....。

なにかがある!

「ん....」

そういえば進めば進むほどに、

道端に骨のようなものが

コツコツと増えていってる気がする。

骨だけに....とは言えない状況か。

「不味いですねぇ....」

魔力結界なら私には効果が無いはずだ....

とすると龍脈だ....。

すなわちここには....

「龍が居る....。あぁ面倒臭い事に巻き込まれた!それも中々にイタズラ好きだな...秩序を守る為の力を遊びに使うたぁいい度胸してんじゃあないの?イタズラなら竜人かもしれないか?」

あぁ...ダメだ....

喋ってないと冷静が保てないな...

頭が疲れてる........。

ここは戻ろう...それから.......。

「な....!」

振り返れない!

首すら後ろに向こうとしない....?

「へへへ....なるほどね?進むしかない訳だ...」

....どうする?

餓死で死ぬってのは恥にもすぎるな....。

「おーい...何処にいるんだー?そんなちゃちなイタズラじゃあ、心の奥まで楽しめないんじゃないかぁ?ほらよ、かかってこいよ」


.....,............。


 なんも言わないか....。

これは分かってやっているな?

私には勝てないと....。

龍も恐れる位私強いんだな....。

やべぇレディになっちまったわネ.....

だが手掛かり無し....。

なにか違和感を探せ....?

まだ思いつく物も無いか?

もっと進んで見れば何か見えるはずだ....。


 シュネーはそれから歩き続けた。

夜通し3日歩いたが....。

何も変わらなかった。

目の下に少しだけクマが出来たぐらいだ。

「はァ..........あぁぁぁ.....」

こうも....私をこけにしおってぇ.....。

.......んがァ.......ん?

シュネーは気付いた。

遂に気付いた。

落ちている物が骨しか無いのだ。

この道は普通は自動車や、

獣車等、ある程度スピードが出る物で通る。

なんならここに入り込む前に

途中で後ろから前に車は進んで行った。

つまりだ.......。

「わかったぁ...!!.........っしょと」


 シュネーは屈んで腕を下ろし....

左足を後ろに右足を前にずらし....。

俗に言うクラウチングスタートの体勢を取る。


「3、2、1、よーい」


よーいの声と共に腰を上げ....


「どん!」


ずがかああっ!!

勢いよく走り出した。


「この道には一部の生物の骨もあった!それはここにある最高速で移動でき、その正体は50km/h行くか行かないかまで出せる生物....!そしてそれを上回って移動できる生物、及び古代異装の残骸は見つからなかった!ならば私とあんたで....50km/hのかけっこって訳だ!解決法としてはつまんないかもしれないがね!」


 シュネーは走る!

木の側を走り抜けるが戻される。

「まだ!」

頑なに木の横を通る度に戻される。

「まだまだぁ!」

そして......。

「であああああああっ!!!!」


 しゃりぃい.....


 木を越えた

たたたたたた....てててて.....。

「......はぁ.........ふぅ......どうだ?満足したか?」

『あぁ...満足だよ』

「へへっ....この程度....。で?....なんでこんな事を.....?怨霊さん?」

『おや...怨霊なんて言い方は嫌だな....?....でもそうだね...僕はもう死んで、とうの昔に天へ昇っておくべき存在だ....。まぁ、もう天になんて行けないかもしれないが....。』

「じゃあ、もう一度聞くよ...。何故こんな事を?」

その幽霊は直ぐに答えた。

『それは、僕が死ぬ前だ。僕は一夜で君が先に訪れたであろう国から、この先に有る外れの村に戻らねばならなかった。そういう約束だった。だが、僕は戻れなかった。ここで力尽きてしまった。約束を果たせなかった....。悔やみがその龍脈?とやらに作用したのか...ここで地縛霊的存在となってしまった。地縛霊という物はルールを果たさねば成仏できない。その場に於て他人がその代わりを果たす事。そしてそのルールは"一夜で村へ行く"という事。』

「つまり晴れてあんたはフリーって訳だ」

『と、言いたいところ何ですが...』

「ん?」

『貴女さん...三日がかりなので....まだ出れませんね....お願いです』

「私がここを越えればいいんでしょう?....最速で.....」

『そういう事です』

「まぁ....いいでしょう。走るだけですしね」


 シュネーは走った。

存在しないはずの彼の為に

この世界に存在しない日本という国の

原付の法定速度の2倍も速く走った。

後は想像通り、彼は地縛から解き放たれた。

だが、彼がその後に天へ行ったか、

はたまた地に堕ちたのか....

行方はシュネーに分からない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る