城があった国

 ん〜...目が疲れているのかも....。

今までこんなことなかった気がするが...

今もだが夜に目を使いすぎたか...

にしても滑稽だな、だが興味深い。

飛んでる島が空を横切ってどっか行ったのは。


 日光を反射する銀の髪を後ろで纏め、

パステルピンクの瞳に

猫のように細い瞳孔を持つ。

旅人の名はシュネー。

絶賛不可思議な現象を見て困惑中だが...

追いかけようがないので前に進むのだ。


 城壁が見えてきた。

風の強い国で、

髪を纏めて置いて良かったと心から思う。

『ようこそ我が国へ!旅人さんですね!待合室へどうぞ』

「うーい」

待合室では歴史の本が置いてあった。

割とこういうのは珍しい...。

歴史を重んじる、魔法協会系の国には

よく置いてあるが...。

この国はギルド管轄だ。

中が悪い2組織のくせにどういうことか、

その事も本に書いてあった。

今回の観光はその本の聖地巡礼方式になるか。


 魔法の民が多く住んでいた。

国のシンボルたる城は、

それはそれは壮大で力強さを持つ城だった。

そして、何処か哀愁漂う屑鉄の美術品の様な

城だったと言う。

ある日ギルドが研究の為に接近。

しかし、ギルドは

その城の素晴らしさに囚われ、

この国は食い潰される事無く

今に至るのである。


 疑問点の部分だけ読んだ頃には、

『旅人さーん、どうぞ〜!良い観光を!』

本を戻して入国した。


 宿を探して、見つけて、シャワー浴びて、

明日のプランを練る。

バスローブがついて無かったので

下着に羽織だけ着てベッドに座り込む。

「城を見に行こうか...。そんで美味しいものを....」

こいつずっと美味しいもの探してんな...

と神様は思った。

そうして1日は終わった。


 日が登る。

そして宿を着替え直した上で出る。

「こっちに....ん?」

何か違和感に気づく。

地図に表記されている方向に城は無かった。

近くの人に聞く...が、

『わかんないよ、僕が産まれた頃には無かったから』

どうやらかなり昔から無いらしい。

公園でまったりしている老人方に、

突撃取材を仕掛ける。

『城ですかい?....そうじゃのう...城はワシが産まれて少ししてから空を飛んでひとりでに飛び立ったのじゃ』

『おやまぁ...違いますよぅ?確か、魔法使いが城を魔法で変えて歩いて何処かへ行ったんじゃぁなかったかねぇ?』

「ほうほう...実際のところは?」

『いや飛びだったんじゃよ』『歩いて行ったのよぅ』

つまるところ謎という訳だ。

『いや!絶対に空に飛んで行ったんじゃ!』『違いますよっ!歩いていったんですっ』

「まぁまぁ...落ち着いて....」

『どっちだと思うんだい!』んじゃ!』

「え、えぇ....」

私は面倒な事が嫌いなんだけどねぇ....。

面倒な事に巻き込まれたようだ....。

『どっち!!』』

「それはぁ.....」

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