木漏れ日の山
山の頂上、
木漏れ日が辺りを照らすそこで...
「ごめんなさーい!食べ物、分けてもらえるかな?」
ぶっ倒れたヒトのすぐ側で、
つま先を立てて膝に腕をかけて...。
俗に言うヤンキー座りをして話しかける、
見るからにやばい雰囲気の、
銀の髪の女が居た。
少しばかり時を戻そう。
銀の髪を後ろで纏め
パステルピンクの瞳、
瞳孔は猫の様に細い、
凛とした顔付きの女。
シュネーは次の国へ向かう為に
山越えの真っ最中だった。
鼻歌交じりに緩い斜面を登る。
其れを影から見るヒトの姿もあった。
『一人入りました』
『よし、いいな?あの狭間で叩く。女だからって抜かるなよ?ヘンな事するのは奪えるモン奪ってからだ』
『了解』
『全員配置に着いたか?』
『OK』『できたよ』『やってやるぜ』『お腹痛い』『ばっちこい』...。
シュネーは岩と岩の狭間を通りかかった。
「そうねぇ....。」
急に引き返し、
鉛筆と無地の本を取りだし絵を描き始めた。
振り返れば良い景色だった。
『中止だ!中止!止まりやがった!』
『今後ろからこっそりでも行けるんじゃ無いですか?』
『それも手だが逃げ道が有るからキツイぞ』
6分が経過した。
遂に旅人が歩き始めた。
『よし、手筈通りにだ....』
『OK』『行けるよ』『やってみせるぜ』『村に戻ります...』『ばっちこい』
念願の狭間に入り込んだ!
中腹まで来るのを確認すると....
『かかれっ!』
刹那、シュネーの周りに
狭間の上からと道を塞ぐように、
山賊(推定)が現れた。
「待ってましたよ〜...」
小さく呟くと、次は大声で...。
「食べ物、分けてくれませんか?」
ピンチな状況な癖して唐突に
食べ物を要求してくる変人に
思わず脚が止まるが...。
『惑わされるな!GO!GO!』
思惑に気付いた賊長は
頭のキレるこの旅人が
自信等の怯みを狙っている事を読んで
ヨーソローの指示を出す。
「本心なのにナ...」
誤解だったらしい、ただの変人だ。
「食べ物〜」
右手で、近付いて来る一人の襟首を掴む。
左手で、腹部にパンチを入れ込む。
後ろから来るもう一人に押し付け、
「くれませんか〜」
それ越しにフロント・ハイキック
を入れる。またの名をヤクザキック。
そしてニヤリと笑うと、
しゅっ、しゅっ!と
拳で素振りをする。
「どうです?食べ物分けてみては?」
ジャッキ....!
「あら、小銃なんて!そんな物騒な...」
おまえがいうな....。
と盗賊達は思った。
しかし....
がんちゃっ、ガララ.....!
小銃の方が弾け飛んだ。
ゆっくり近づいたと思えば不意に止まると、
ピンッ!と何かを親指で上に弾く、
其れはまさか、
『消しパン!?』
「ごめーとー」
戻って来た消しパンを弾く。
銃弾の如きスピードで
消しパンが飛んでくる。
ちなみに消しパンと言うのは、
画材として使う、
所謂消しゴムポジションの物で、
食用と分けるために消しパンと、
食用の方は食パンとそれぞれに
名がついたらしい(諸説あり)
ちなみに撃たれた彼が消しパンと
言い当てる事が出来たのは、
彼の趣味が例によってスケッチだった為だ。
世界が偶然の上に
組み立てられているのがよく分かる。
消しパンはこの時グリグリに丸められていた。
「後二人、」
『う、うわぁぁぁぁぁぁ!!死ぬ!絶対!うわぁぁぁぁぁぁぁああっぁ....』
一人は大声を上げながら逃げ出した。
『逃げるな...!ッチィ...!!』
賊長は相手を見据える。
寸の構えを取らないその女は
全くの只者出ないのが分かる。
『化け物め...!』
「美少女戦士シュネーさんだよ?」
『うおおおおおおおおおおお!!』
ぱすっ....!
手の平で勢い任せの拳を流し、
足を払い、地に倒れ込んだ賊長を
一撃蹴った。
動かなくなった彼に...。
「勢いやヨシ」
そして今となる。
「......やり過ぎたかな」
そこに走ってくる人影、
『すみませんお腹痛くて....。って、あれ?』
「食べ物、分けてください」
切実に聞いた。
シュネーはあとから来た若者に連れられ、
そう、ちなみにだが
倒したヒト々は彼女が纏めて運んだ。
山賊の村で食事を頂き、
復活した賊長に1枚の絵を渡した。
「これ、ギルドに売ってあげてくださいナ」
『この絵をか?、やられる前に描いた奴か.....』
「高く売れますよ?」
『そのギルドに売るとか?』
「さいです。おっと...」
その絵にサインを描いた。
「これでさらに高く売れますね、できる限り値を吊り上げるのがミソです。」
『どういうこっちゃ....』
「まぁ、ありがとうございました。そして申し訳ございませんでした。私はここで.....。」
別の日、ギルドのチームが
登って来るのを見ると
道中に山賊達は売店を開いた。
そこでツボ等に混じらせ、
例の絵を飾った。
職員の一人が見つける
そして去っていった。
『なんもねぇじゃねぇかな...』
賊長は独りごちたが、
職員は戻ってくると絵の値段を聞いた。
逆に何円で売ってやろうか?と
聞き返した。
金貨5枚から始まり、
50枚程まで吊りあがった。
そこで手を打ち、
紙切れが飛んでもない量の金貨に変わり、
山賊の村は普通の村となった。
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