第15話 そういえば、魔法で綺麗にできるんだった?

 俺は股間から流れた後の湿ったズボンと、追い打ちをかける様に血まみれの姿で汚れていた。

 うわ、これどうすんだと改めて思う。


 そして少し考えるとそういえば俺が血で汚れたのを、城にいたおじさんが魔法で綺麗にしてくれたっけな。

 魔法か。あれって俺にも使えるのか?

 試しに身体に手をかざし、


「浄化!」

「綺麗になれ!」

「我清潔なるを望む!」


 等々考えられそうな事を言いながら、イメージしながらやってみたけど駄目だった。

 こんちくしょお!俺は魔法が使えないのかよ!ちょっと期待してしまった分、がっくり度は大きいぞ?


 そして、あのおじさんとの違いを考えた。

 そして気が付いた。おじさんの言葉で魔法を唱えればいいんじゃね?


 そう思うと早速スマホを取り出し、おじさんの動画を確認する。


 ふむふむ・・・・どうなんだ?


『ケゾノリト ヲ レガケ ノ ノモノコ』


 あ?これが呪文か!

 よくある無詠唱は無理なのか?頭の中でイメージして魔法を発動とか。

 まあ俺もこの言葉を言いながら手をかざせばできるのか?

 俺はまねをしてみる。


『ケゾノリト ヲ レガケ ノ ノモノコ』


 するとどうだろう、俺の汚い姿がみるみる綺麗に・・・・なる事はなく、そのままだった。ガックシ。


 何が駄目なんだ?

 もしかしてこの呪文に何か秘密が?


 俺は少ない脳みそをフル回転させて考えた。

 するとこの呪文、何か違和感を覚えたので、別の動画を再生する。


『セタイ クフイカ ヲ ガケ ノ ノモノコ』


 最後のほうが同じだな?

 そして俺は考える。

 考えるが・・・・俺には難しすぎたようだ。


【おや?魔法を使いたいのかい?惜しいけれどそれじゃあ魔法は使えないね?実行しようと頑張っても今唱えた魔法の言葉では、他人にしか魔法は使えないよ?最後の言葉を少し変えるといい。】


【なんだよ知っているなら最初から言えよ!】


【まあ僕には僕なりの都合があるんだよ?いいかい、最後の言葉『ノモノコ』だけどね、『レワ』と変えれば使えるよ?】


 お?マジすか?そりゃあ有り難い!俺は早速そう言い換えて使ってみる。


『ケゾノリト ヲ レガケ ノ レワ』


 するとどうだろう?

 血で汚れていた装備は綺麗になり、粗相の後もすっかり綺麗になった。おお!すげえ!

 何だよこれ!魔法ってすげえじゃねえか!

 俺は感動するあまり興奮してしまって、舞い上がっていると突然目の前が真っ暗になり、倒れた。

 え?何?何が起こった?

【ああいきなりそんなに沢山浄化しちゃあ駄目だよ!魔力切れだね?魔法の訓練をした事もないのにいきなり使えばそうなるさ。まあ後に何処かで訓練をする事だね?】


【なあ、もっと早く言ってくれよ?俺は今いる世界の事を全く知らないからさ、この世界じゃ常識の事柄も、俺からしたらとんでもない事ばかりなんだからさ。】

【ああわかったよ。気が向いたら色々ね。】

 何だよまあいいや。俺も魔法ってのが使える事がわかっただけでも儲けものだな!

 これで俺の無双伝説が始まるぜ!



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