第14話 血の気が引いていく
目の前に存在している獣?魔物?何でもいいがその生き物に俺は無警戒に近づきすぎたようだ。
まだ生きていたそいつは、俺が近づくと突然起き上がり、俺に襲い掛かってきやがった!
何だよ死にかけているんじゃないのかよ!
俺は腰が思いっきりひけてしまった。
考えてもみろよお前達、仮にドーベルマンがこっちへ向かって襲い掛かってきたらどう思う?
普通怖くて逃げるだろう?
そんな感覚だ。
そして俺は思わず目を瞑り、どうやら無意識に剣を前へ突き出していたようだ。
鈍い衝撃と共に俺は倒れてしまう。
当然目を瞑っていたからわからなかったが、この魔物は俺に突進してきたはいいが、たぶん俺が絶妙なタイミングで剣を突き出したのだろう。見事に串刺しになっていた。
そしてブルッと震えたかと思うと、完全に動きを止めた。
俺は目を開けたが、目の前にはすごい形相の魔物が血まみれでこちらを睨みつけている訳で、俺はもう目の前が真っ暗になったよ。
ただ、倒れなかった。
きっと本能がここで倒れたら死ぬ!と思ったのだろう。
【おお!素晴らしいね!死にかけていたとはいえ、レッド・ボアを一撃とか、君見どころがあるね?】
【何を言ってんだか。たまたまこいつが突進してきた時、俺が剣を突き出し勝手に剣へ刺さっただけじゃないか?】
【そうかもしれないが、いやあ実に運がいい。あ、その死体ここで解体は・・・・君はできないよね。なら収納してしまった方がいい。】
収納?ああそうか。魔物の何処か、脚?足?でいいか、手に取り収納する場所に触れさせると、消えた。
何度見ても不思議な光景だ。
俺は暫く休んで、落ち着くのを待った。
そして更に調べると、死体があちこちに転がっている。
【レッド・ボアの群れかな?うんうん、君やっぱり運がいいよ!そのまま全部回収するといいよ。】
まあそういうならと、回収していく。
そして乗り物の残骸の所に来ると、うげえ!
きっとこいつが運転してたんだろう?
人が死んでいる。
これも一応回収しておくか?
カードが見当たらないが、どこ行った?まあいいか。
そしてなるべく見ないように死体を回収していく。
うわ、夢で出てきそうだな。
そして次はこの乗り物だな。ぐるっとまわって様子を見ようとすると、ああ、一匹下敷きになってやがるな。
「グルルッルルウ!!!!!!」
うわこええ!
サクッと始末しとこう。
俺は剣を構え、身動きの取れない魔物に剣を突き刺す。
グシャッと嫌な感触が。
気が付けばその魔物は絶命していた。
そして俺の足元は、水たまりになっていた。
そう、俺は膝ガクガク、体ガクブル、そして股間からは例の液体が。
いい年して2度もとか。だが仕方ないだろう?
こんな経験日本じゃ一度もないからな。
俺はこの後様子を見ながら乗り物を物色したが、何もない。
まあこれも入るならと、収納した。
この時は気が付かなかったが、後で思えばこんなでかいのよく入ったなあ、と。
結局死んでいた魔物を含め、10頭ほどいたようだ。
そしてもう1人死んでいた。
此方はいい装備をしていた。
護衛だったのかわからないが、魔物に殺されていたようだ。
俺はこいつも収納しておく。
そして俺は油断していたのか、生き残りの魔物に気が付かなかった。
何か音がしたと思ったので、振り向くとすぐ目の前に魔物が突進してきていた。
今度は剣を構える余裕がない。
そのまま俺は真正面から魔物の突進を受け止めてしまった。
当然そのまま倒れてしまう。
今俺は最初の城?そこでもらった装備を装着していたままだったから、怪我はしなかったようだが、魔物に突き飛ばされたかっこうだ。しかし何だか様子がおかしい。
俺の腹の中?腹の所で何かが暴れているし、何か魔物の雄たけびみたいなのが聞こえる。
しかし、その暴れているようなのも次第に収まり、雄たけびみたいなのも収まった。
俺はさっきの魔物は?後ろに回ったのか?そう思いながら周囲をぐるっと見渡すが、何も動きのある者はいない。
あれ?どこ行った?
まさか頭上に?
だけどいない。
【おお!やはり君は運がいい!】
【なんだよさっきから運がいいとか!】
【ああ、さっきの突進、レッド・ボアは運がなかったというべきか、君持っている収納の入り口へ触れてしまったようだね。】
【あん?なんだそれ?】
【そのまま収納されてしまったって訳さ。】
【意味が分からん。どういう事だ?】
【まあいいじゃないか。街へ到着したらギルドで魔物を出して、解体してもらうといい。肉と魔石を買い取ってもらえるよ?そして毛皮も状態が良ければ高額で買い取ってくれるからね。】
あっそ。それより血まみれじゃないか俺。それに、盛大に漏らしたしな。
何処かで着替えたいな。
【街が見えてからのほうがいいよ?まだ魔物の脅威が去った訳じゃないからね。】
俺の前途は多難だな。
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