第13話 戦いの痕跡
さて、道に出たはいいが、どちらに向かえば?
そもそも俺は何で運ばれていたんだ?
気が付けば、すげえ揺れる乗り物に乗せられ、しかも簀巻きにされてというおまけ付きだが、更に言えば暫くすると揺れが激しくなり、あっちゴロゴロ、こっちゴロゴロとしているうちに、上下に激しくバウンド、最後は乗り物から落下したらしいという、なんともお粗末な結末。
で、暫くこうしてこの場付近で過ごした訳だが、誰も俺が落下している事に気が付いていないのか、戻ってこない。
それとも捨てられたのか?
そもそも俺の扱いは何だったかわからないからまあいいか、ぐらいにしか思われていないかもしれないし、何かあったのかもしれない。
【成程これは魔物に追われていたね、君の乗っていた乗り物は。】
は?魔物?なんだそりゃ?
【そうなのか?なんでわかるんだよ。つまりはあれか、俺が
あり得るのか?
そもそも魔物の脅威とか、一切分からんしな。
【まあそんな所だろうね。で、どうするのかな?城へ戻るか、乗り物の移動していた方向に進むか、暫くは二つに一つだけどね。】
俺が居たのは城か?
よく分からんがきっと追い出されたんだろう?そんな所に戻ってもなあ?
【分からんが、乗り物の向かった方へ行ってみるか。そっちの方が街は近いのか?】
【そうだね、馬車の移動していた方向が人の住んでいる街は近いね。】
【じゃあそっちに移動するか。ここに居てもどうにもならなさそうだしな。】
俺はさっそく移動を開始した。
そうは言っても道を歩くだけだが。
そして30分ほども歩いただろうか、道の周囲に変化があった。
何か木片が散らばっているのを見つけたからだ。しかも、どう見てもその破片は新しい。
つまり断面の色が綺麗だったからそう思った訳で、これが長い事放置されていたら、きっと色がくすんだり、変色して汚くなっているだろうと思ったからだ。
そしてもう暫く様子を見ながら歩いていると、その予想は当たった。
【ちょっと待って。魔物がいるよ。ああ、死にかけているね。たぶん君でも仕留められるさ。さっきの剣で一刺しすれば仕留められるさ。】
魔物を殺すのか?俺が?
こう言っては何だが、小学校の時ぐらいだぞ、面白がって生き物を殺したのは。
カエルの解剖とか、ザリガニをばらして、ザリガニを釣る餌にしたとか。
それも中学になるとそんな事はしなくなったが。
【殺すのは抵抗があるな。】
【そうなのかい?君の居た世界では、魔物と戦ったりとかなかったのかい?】
【そもそも魔物なんていないさ。】
【平和な世界だったんだね。で、どうするのかな?魔物の居る方にはどうやら乗り物の残骸もあるようだけど?】
【よく分からんが、様子ぐらいは見ておこう。】
俺は一応剣を手にし、言われた方に進んでいく。
すると、いた、犬?猪かこの大きさは?
人が四つん這いになったより大きな生き物だ。
そして、その先を見ると、乗り物が壊れてボロボロになって横倒しになっているのが確認できる。
ああ、魔物に襲われて、こんな所に乗り物が通ってしまったんだな。
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