第8話 ゆうしゃ様が消えてしまった

 気が付くと、ゆうしゃ様の気配が遠のいています。


 え?あら?私はどうしてしまっていたのでしょうか?

 急いで起き上がりますが、うう、頭が痛く思わず呻いてしまいました。

 何故ゆうしゃ様の気配が遠ざかっているのでしょうか?


 私、まだ名乗る事すらしておりませんのに。

 それに、ゆうしゃ様のお名前をまだお聞きしておりません。

 私が気絶しなければこんな事にはならなかったはずなのに。

 申し訳ありませんゆうしゃ様。


 私は侍女に確認しますが、返事がおかしいのです。

「遊び人は追放されました。」


 え?遊び人?何の事でしょうか?

「私は、私が招いたゆうしゃ様の事を聞いているのですよ?何故遊び人の話になるのでしょう?」


 この国では遊び人とは最も禁忌とされるべき職業。

 忌み嫌われています。


 何があったのかは存じませんけれど、この国は神聖な国。

 遊び人の存在は真逆の存在とされています。

 それ故に遊び人は国から追放されるのが定め。

 そうは言っても望んで遊び人になった者はいないので、実際は小さな村へ流される事になります。


 ですが何故?

「もう一度聞きますが、私が招いたゆうしゃ様はどうされましたか?」


「姫、姫が招いたのはゆうしゃ様ではなく、 遊者ゆうしゃです!」

 え?游者?何でしょうそれは?

 私、今もゆうしゃ様との絆を強く感じます。そしてその距離がどんどん離れていきます。

「待って!それはおかしいわ!確かにあの方はゆうしゃ様です!これは間違いようのない事実。それが何故游者に?それに游者とはどういう事でしょう?」


「皇帝陛下にお聞き下さるのが一番宜しいかと。」


 私は父の元へ飛んでいきました。

 これは国の今後を左右する重大な事柄。

 何より優先される事なので、たとえ父が謁見中でも割り込んで話すべき事案。


 ただ、父は食事中でしたので、すぐに会えました。父は皇帝ですから、たとえ娘でもそう簡単には会えません。

「皇帝陛下!ゆうしゃ様を追放したとはどういった事なのでしょう?問題があれば、招いた私に一言あってからでも遅くなかったはず!」

 普段私はこのような行動をしたことがなく、父は恐らくこんな私を見た事もないでしょう。慌てています。


「気が付いたかピートロネラよ、もうよいのか?」

「心配をおかけいたしましたが、それどころでは御座いません。ゆうしゃ様は今どちらに?」

「あの者は勇者ではなく、遊び人だったのだ!つまり召喚は失敗だ。」

「お待ち下さい!失敗はあり得ません!何か間違いがあったのでは?」

 そう私が言うと、父は勇者様のカードの写しを私に見せまてくれます。



 <名前:章 努しょう つとむ>

 

  <種族: 人間>

 <年齢: 5751>

 <性別:男の子>

 < LV:    0>

 <燭堯:游者Lv0>

 <恥寡裸 : F>

 <胎侶垢 :F>

 <恥力   : E>

 <精子NO力 :D>

 <春貧    : E>

 <魅力    : C>

 <運   : S>

 <保有スキル>


 <特殊(ユニーク)スキル及びギフト>

 ???・???・???

 <称号>

 無し

 <所属>

 無し


 え?なんでしょうこれは?

 表示が明らかにおかしいですわ。



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