第9話 カードの確認ミス?

「向こうの言語になっておったようで翻訳をしたが、このような表示のようだ。つまり失敗じゃ。」


 私はこの時、思い当たる事があったのでもしやと思い自室に戻り、調べます。

 カードの元データが魔道具には残っていますので、それを確認します。


 どうやら翻訳機能が上手く反映されていなかったようで、しかも急ぎ用意したカードです。

 ミスがあった模様。しかしこれは、誰かが確認しないといけないはず。そう、確認は皇族が負う務め。

 そしてそれは召喚を直接行った私以外により行うべき事案。

 つまり確認するのは当然ながら皇族が責任をもって行わなければいけません。

 私の役目はゆうしゃ様を招く事。

 兄弟姉妹の誰かがカードを用意すべき。

 何度も言います。私は召喚で力を使い果たし、また集中しないといけないので、誰かカードを確認する役目があったはず。役目を果たさなかったのは誰でしょう?


 その前に、何故カードが用意していなかったのでしょう?


 本来カードは別の誰かが用意するはずなのですけれど、私がゆうしゃ様をこちらの世界へ招くまでに、手元に渡してもらわねばならない所がカードはなく、取り急ぎ私が短時間で用意したもの。

 確認する前に私は気を失ってしまったのですが、まさか誰もカードの確認及び修正を行わないとは!

「本来カードは私以外の誰かが用意すべきものでしたわ?違いますか父上!」

「ぬ!まさかカードがなかったのか?」

「ええ。それで急遽私が用意をいたしましたが、確認をする前に気を失い、記載事項が正常か私は確認できませんでしたの。」

「まさか!信じられぬ!それに関して責任の一端は余にもある。誰か!追放した者を連れ戻すのじゃ!」

 すると近衛騎士の一人がやってまいりました。

「陛下、いかがなさいましたか?」

「ピートロネラが招いたあの者を連れ戻すのじゃ!」

「は!しかしどうされたのでございますか?」

「カードに記載ミスがあったのだ!確認せねばならぬ!」

「丁重にお連れするのですよ。」

「は!連れ戻してまいります。」


 何て事・・・・信じられません。

 恐らく右も左もわからず、自身のせいではないのにいきなり追放。いくら誤解があったとはいえ、ゆうしゃ様はそんな事は知らないですし、関係ありません。

 直接会って謝罪をしないと!


 私も別に向かう必要がありそうです。

 絆のおかげで私は勇者様の居場所が、なんとなくですが方向と距離ぐらいはわかりますから。

 私が準備をしている間に、ゆうしゃ様を連れ戻す兵が既に向かったようです。


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


「え?遊び人を連れ戻す?」

「ああ、丁重に、だってさ!」

「うはは!丁重に!丁重に連れ戻してやるさ!しかし遊び人をか?信じられんな!」

「追放した遊び人を捕えよとのお達しだ!」

「え?何かやらかしたんですかね?遊び人?じゃあ何か犯罪を?」

「え?遊び人を?生死は問わず?」


 口頭での命令ゆえに、末端の兵に伝わる頃には丁重に連れ戻すはずが、いつの間にか生死を問わずに捕えよ、となっていた。


「ええ!いったい何をやらかしたのでしょうね?」

「え?姫をたぶらかした?そんな奴は死ねばいいんだ!首だけ持っていけばいいんじゃない?」

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