推しの27

 残る二組は⁉

 残る二組はどうなっている⁉」

 「宇佐見うさみ定満さだみつまさかの敗退。二対一で勝って嬉しいか、卑怯者。

 しかし、まだだ。まだ負けない。直江なおえ景綱かげつな甘粕あまかす景持かげもちのふたりは互角以上の争いを展開。ああっと、ここで宇佐見定満を下した清水しみず康英やすひでが参戦。松田まつだ憲秀のりひで共々、直江景綱に襲いかかる。どこまで卑怯だ、北条!」

 「松田、がんばれ! 遠山、がんばれ! おお、ついに松田憲秀の腕が直江景綱の旗をもぎ取った!」

 「直江景綱一生の不覚! しかし、まだだ、まだ負けない。その間に甘粕景持が遠山とおやま景綱かげつなの旗を奪い取っている! これで柿崎かきざき景家かげいえ北条ほうじょう綱成つなしげの旗を取れば数は互角。勢いならこちらが勝る! 柿崎、がんばれ、柿崎、がんばれ、上杉の関東制覇はお前にかかっている!」

 「さすがしぶとい、柿崎景家! 形勢はまったくの互角。取れはしないが取られもしない。その間に清水康英と松田憲秀が後方から襲いかかる! これにはさすがの柿崎景家もひとたまりもないはず! 北条の勝利は目前だあっ!」

 「柿崎景家の後ろから清水康英と松田憲秀が襲いかかる! 一対一の勝負に水を差す気か、武士の意地はないのか、どこまでいじましいやつだ、北条! しかし、そうは問屋が卸さない。甘粕景持が卑劣なふたりの前に立ちはだかる。二対一での奮闘、奮闘、柿崎景家には近づけさせない! がんばれ、柿崎。がんばれ、柿崎、この間に北条綱成を下すのだ!」

 「清水康英、松田憲秀、ふたりの勇将の前に立ちはだかった甘粕景持、敵ながらあっぱれ! その奮闘、たしかに見届けた。しかし、しょせんは二対一、勝負になろうはずもない。清水康英の腕がその旗をもぎ取ったあっ!」

 「無念、甘粕景持、奮闘空しくここに敗北!しかし、ただではやられない。同時に清水康英の旗を奪い取った! これは相打ち、相打ちだ!」

 「さすが上杉四天王、この粘りは見事の一言! しかし、これで上杉四天王で残るは柿崎景家ただひとり! その柿崎景家はなおも地黄八幡・北条綱成と壮絶な旗の奪い合い! そこへ後方から松田憲秀が襲いかかる! これにはさすがの柿崎景家もひとたまりも……って、ええ⁉」

 「神業炸裂! 柿崎景家を乗せた騎馬がいきなり回転! 騎馬戦でこんな素早いターンができるのか このためにどれほどの鍛練を積んできたのか、さすが上杉四天王! 呆気にとられた松田憲秀、反応できずに旗を取られる!」

 「これは不覚! くやしがる松田憲秀! しかし、これは相手を褒めるべき。嘆くな、松田憲秀、あなたはよくやった!

 さあ、これで残るは北条綱成と柿崎景家のふたりのみ。文字通り、関東の命運を懸けた一騎打ちのはじまりだあっ!」

 「壮絶な旗の奪い合い、

 一対一だ、

 一対一だ、

 このふたりの勝負ですべてが決まる!

 越後七郡敵う者なし、柿崎景家か、

 常勝不敗、地黄八幡・北条綱成か、

 壮絶な旗の奪い合い!」

 「両者必死の形相!

 壮絶な奪い合いに汗が噴き出し、鼻血まで流している!

 しかし、両者とも一歩も引かない! 相手の腕を払いのけ、押しのけ、相手の旗へと手を伸ばす! その手を弾かれ、相手の腕が伸びてくる。その腕を必死にはじき返し、再び相手の旗へと手を伸ばす!」

 「その繰り返し、壮絶な戦いになってきた。両者を乗せた騎馬も必死の形相。歯を食いしばり、自らの愛するアイドルのため死力を尽くす! 柿崎景家の腕が旗へと伸びる。同時に北条綱成の腕もまた!」

 「これはまるでクロスカウンター!

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