推しの26
「「と、言うわけで……」」
「いよいよ本日のメインイベント、大騎馬合戦のはじまりだあっ! 戦場に集うは北条五傑! 常勝不敗、地黄八幡、
「関東を制するべく揃うのは、我らが上杉四天王。軍神・上杉謙信が師事した
「ルールは単純! 五対四の騎馬合戦! 相手が頭に差した旗をすべて奪った側の勝ち! 人数差を考慮して、上杉大将、宇佐見定満のみ、二本の旗を差している!」
「四人を相手に五人を揃える。数を頼む浅ましさ。まさに、臣下にも嗤われた北条氏康らしい腰抜け振り」
「部下の数のちがいは大将の器のちがい! より多くの配下を揃えた時点で北条軍の完全勝利! 部下を揃えることもできない能なし大将の戯言など聞く価値もなし!」
「上杉軍は軍神・毘沙門天の地上におけるその化身。人の身になど負けるはずなし。関東は我らのものだ」
「北条軍は黄・青・赤・白・黒の五色揃え! すなわち! 北条軍こそスーパー戦隊の元祖! 正義は我にあり。そして、勝利も我にあり!」
「関東の支配を懸けた一大決戦……」
「「いま! 開幕だあっ!」」
「さあ、いよいよ関東制覇を懸けた運命の闘いがはじまる! 北条軍の陣容は北条綱成を中心に右翼に松田憲秀、大藤政信、左翼に清水康英、遠山景綱を配置した鶴翼の陣! 真ん中目指して突進してくる相手を包み込み、包囲殲滅する必勝の陣!」
「上杉四天王は柿崎景家を先頭に全員が縦一列に並ぶ直線陣。その姿はまさに龍。越後の龍・上杉謙信の軍勢にふさわしい伊達姿」
「伊達と言ったら伊達政宗。自軍を讃えるにライバルの名前を持ち出す上杉謙信笑止なり! その嗤い者の上杉軍、まっすぐに連なったまま突進してくる! 陣も単純なら戦い方も単純そのものの特攻攻撃! まさに戦バカの上杉軍らしい単純さ!」
「土煙を上げ、上杉軍が奔る、奔る。
行く手を遮るすべてを粉砕するその威容、まさに軍神の化身と呼ぶにふさわしい。その迫力に恐れを成したか腰抜け北条軍、激突前からもう逃げ腰か。ジリジリと後退をはじめた」
「北条五傑、ゆっくりと後退。上杉脳筋四天王を勝手に走らせておいて、疲れさせたところで反抗に出ようという作戦か?
おっと、ここで中央に陣取る北条綱成が後退速度を速めた。一方、左右に展開する四人、松田憲秀、大藤政信、清水康英、遠山綱景が一気に前方目がけて走りはじめた! 突進する上杉四天王の両脇を逆走し、後ろに回り込む!
これは北条綱成が相手の攻撃を受けとめ、その間に後方に回り込んで包囲殲滅しようとの作戦だ!」
「愚かなり、北条五傑。たったひとりを矢面に立たせて何とする。後方からの包囲など無駄なこと。先頭を駆けるは越後最強・柿崎景家。包囲される前に北条綱成を打ち破り、包囲網を破壊するは必定」
「ぶつかったあっ!
地黄八幡・北条綱成と上杉軍先頭、柿崎景家が激突!
壮絶な旗の奪い合い、両者必死の形相。足元を支える馬たちも崩されまいと踏ん張る、踏ん張る! 北条最強地黄八幡・北条綱成対越後最強柿崎景家、さすがの名勝負!」
「越後最強柿崎景家相手に互角の戦い。さすがは北条最強地黄八幡・北条綱成。しかし、しょせん、相手はひとり。残り四人が後方から一斉に襲いかかる」
「きた、きた、きたあっ! 上杉四天王が動き出したその瞬間、待ちにまった後方からの襲撃! 松田憲秀が、大藤政信が、清水康英が、そして、遠山綱景が、一斉に上杉四天王の後方から襲いかかったあっ!」
「予想外の動きの速さ、さすが北条五傑。しかし、この程度で戦国最強、上杉軍は揺るがない。たちまち、反転。宇佐見定満を筆頭に後方をがっちりガード。柿崎景家には近づかせない」
「松田憲秀は直江景綱に、遠山景綱は甘粕景持に、そして、宇佐見定満には大藤政信と清水康英のふたりが同時に襲いかかる! おおっと、ここまで守勢に徹していた地黄八幡・北条綱成がついに反撃開始! 左右の腕が嵐となって回転し、相手の旗を奪わんものと襲いかかる!」
「さすが地黄八幡、なかなかの腕の冴え。しかし、相手が悪かった。お前の相手は越後最強柿崎景家。その程度の攻撃で旗を奪うことなどできるはずなし。右に、左に、嵐のような連打を払いのけ、受け流す。さあ、今度はこちらの番だ、覚悟するがいい、北条綱成」
「さすがは越後随一の猛者柿崎景家! 一筋縄ではいかない。しかし、だいじょうぶ。 我が北条が負けるはずなし! 大藤政信、清水康英のふたりが宇佐見定満を追い詰める、追い詰める! ついに、大藤政信の腕が宇佐見定満の旗を奪い取ったあっ! しかし、大藤政信も旗を取られた。これは相打ち。でも、その隙に清水康英が残るもう一本の旗をもぎ取ったあっ!
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