推しの25
「お互いに相手の推しへの質問を一〇〇問ずつ出し、正解数の多い方が勝利というこの勝負! まさに、推しへの愛が試される一戦! この勝負は負けられない!」
「まずはこちらからだ。では、小手調べの第一問。かつて、バレエダンサーとして世界の頂点を目指していた
「小学校時代、強力なふたりのライバルに出会い、才能の差を見せつけられ『あのふたりがいる限り、あたしはバレエ界のトップには立てない。トップになれないことがわかっているのにウジウジつづけるなんて、あたしの生き方じゃない!』と、バレエを断念。アイドル界でのトップに立つべく、アイドル事務所入り!」
「第二問。
「青葉はもともと、両親がピアニスト、兄がバイオリニストという音楽一家。そのため、幼い頃からごく自然に芸能界や芸能関係者と関わってきた。その延長線上で、特に意識することもなく自然と芸能界入り。本来なら歌姫としてデビューするところだったけど、それがアイドルになっちゃったのは……天然故の懐の甘さ」
「第三問。同じく
「黒葉は小さい頃から美人で、背が高くて、そのせいで女子からはやっかまれたし、男子からはからかわれてきた。つらいことも多かったけど、どうせ、目立つなら徹底的に目立ってやろうと一念発起! モデルを目指す! それが、企画時のドサクサでなぜか、ふぁいからりーふの一員に……」
「第四問。
「黄葉は面倒見のいい性格で、子役時代から周りの子たちの世話をしてきた。そのため、すっかりお母さん役が板に付き、自称も『お母さん』。その性格と舞台慣れしている実績を見込まれて、他は新人ばかりのメンバーだったふぁいからりーふの世話役として抜擢される!」
「第五問。顔も、スタイルも、歌も、踊りも、トークも、その他すべてが水準以下のポンコツ候補生に過ぎなかった
「気合いがちがった。白葉は自分のことをよくわかっていた。『低スペック女子である自分が輝けるのはいましかない!』との危機感からくる必死さに賭けた」
「ふっ。ここまでは全問正解。まずは見事と言っておこう。だが、ここまでは、ほんの序の口。小手調べ。こんなところで間違えるようではそもそもファンを名乗る資格なし。ここからが本番だ」
「どんどんきなさい! 我ら栄えあるふぁいから衆! 必ずや全問正解してみせる!」
「いい覚悟だ。では、行くぞ。第六問……」
…………。
………。
……。
「は……はあ、はあ、はあ……。さ、さすがに両軍合わせて二百問連発のクイズを実況するのは疲れた……」
「……確かに」
「それで結果は……八八対九三で我が、ふぁいから衆の負け……」
「ふっ。当然の結果だ。思い知ったか、北条。推しのことならすべて知っている。それこそ、愛の強さというものだ」
「主人公が勝ちっ放しの映画なんて演出不足よ。いったん、窮地に追いやられ、そこから奇跡の逆転劇! それこそ映画の醍醐味! 一対一で迎える最終戦、その緊張感の演出のためにあえて負けてやったまで。最後の騎馬戦で華麗に勝利して我ら、ふぁいから衆の愛の強さを見せてやるわ」
「面白い。受けて立つ。我ら毘沙門衆の愛の強さを知って泣き叫ぶがいい」
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