拝み屋になってみた

第46話

喧嘩しちゃった。お姉さんの家を出て、歩いている。雪見さんは手を繋いでくれてる。そして、雪見さんはまだ怒ってる。私のため？

「そうだけど」

「大丈夫だよ、びっくりしただけ」

「いきなりあんなに触る？乱暴すぎるから。つぶれるだろ」

「大丈夫だよ」

「痛いって言ったじゃん」

「あ、うん…」

「最低だなあの野郎」

「たまたまだよ…」

「いや、あいつバカにしやがって！」

「せっかく会えたのに」

「あいつが生きてるならそれでいい。みるくが嫌がることするからもう会わないから」

雪見さんの目をしっかりと見る。

［私は平気だよ］

［本当に？なにされるかわかんないよ？］

［え、それって？］

［わからないけど。普通しないことしようとするんじゃない？］

［え…ちょっと怖い］

［ほらな］

［私、いつも優しく触ってもらえるから痛いって思ったことなかったから…びっくりして］

［バカだからだよ、あいつ。どー見ても柔らかいし、つぶれるのに。ほんとわからないやつ］

［雪見さんがすぐ来てくれて、嬉しかった。本当は…すごく恥ずかしかった］

わ！

急に抱きしめられた。

「今は痛くない？」

「…うん、大丈夫。それより住職に報告しなくちゃ」

「なにを？」

「…病院行ったから」

「あーそうだった。あ、やべぇ仕事の時間だ」

「1人で帰れるよ、行ってらっしゃい」

雪見さんは走って行った。仕事のこと忘れがち。

「遅くなりました」

「どうだったかな？」

住職、わかってると思いますが

「妊娠してました」

「それはよかった」

「あと、雪見さんのお姉さんに会えました」

「なるほど」

「探してたら会えました、不思議です」

「どうやら、感じ取ったのかもしれない」

「そうなんですか？」

「そう。雪見は、以前より力をコントロールできるようになってきた。みるくさんのおかげで」

「私ですか？」

「誰かのためになら、できることが増えるんだよ」

「へぇ、すごいですね」