第28話

「高校生になって、どんどん大きくなったの…走ってるのをみんなに見られて恥ずかしかった」


「みるく…」


[陸上で頑張ろうとしてたのに…]


「陸上しかできないと思ってたし、強く言ってたけど、本当はそんなに頑張ろうと思ってない。ごめんなさい」


「いや…」


「ゆきみさんとこれから頑張るから…お願いします」


「…ところでお前」


「はい?」


「なんだその口の聞き方は」


「あ、すみません。なんですか?」


「何歳なんだ」


「えーっと、18ですね」


えー!?私と1個しか離れてないの?


「若造が!娘はやらん」


「私がお願いしたの!結婚してって!だからお願い」


[なんでうちの子が…こんなやつなんか…]


「私の辛さに気づいてくれるし、一緒にいたいの」


「…なんとか言え!お前」


「反対なら結婚しませんけど?」


「だ、だめ!ゆきみさんと結婚する!」


[なんてことだ。なにもねだらないみるくが…こんなに主張するなんて]


え、私そうだっけ?


「みるくが、こんなにあなたといたがってるんです、お願いします」


全然しゃべってなかったお母さんが…逆にお願いしてるんだけど、どういうこと?


「お前何を言ってる」


「せっかくみるくがお願いしてきてるのに…可哀想じゃない。陸上もできなくなったのに」


[それはそうだが…こいつは酪農を継がないだろ!]

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