公園の彼女

第4話

部活動の人達とすれ違う。声が以前よりも大きくなった。だから、思い切って…悠星さんみたくやるぞ!


「すみません!」


と言って、走っている人たちの前に立ちはだかってみた。


「なんですか?」


みんな止まった。女の子ばかりのグループのようだ。困った。これじゃ、誰か特定するの難しい。


[暑い、もう辞めたい]


…やっぱり声がする。


「何この人?かっこいい」

「でもお寺の人じゃなかった?」


[汗でべたべたする。もー嫌!]


これは、口を動かして発してる声ではない。他の人の声に重なって聞こえている。


「君、具合が悪い?」


髪を後ろで結んでる女の子から聞こえてる気がした。いきなり手を取って驚かれたけど、


[うそ!助けてくれるの?]


と、口を動かしてないのに聞こえた。


「山本、ジャージ暑すぎるんじゃない?」

「日焼け防止はわかるけどさぁ」


「あ、あの先輩…私…少し休みたいのですが…」


「無理は禁物です。休ませたほうがよろしいかと」


「…じゃ、その子お願いします」


みんな彼女を置いて走って行った。結構ドライなんだな?


「あの、ありがとうございます。ちょっとトイレに」


腹痛?なわけない。暑い、とか助けてだったし。トイレ駆け込んだけど。声はなぜ俺にだけ聞こえるんだ?


「あの、もう帰ることにしました…」


戻ってきたらそう言った。


「具合は?もういいの?」


[すごい心配されてる…ただ暑いだけなのに。あーべたべたして気持ち悪い]


「シャワー浴びる?お店のだけど」


「え?」

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