第2話

はぁ。悠星ゆうせいさんはなんて人だ。

一人前じゃないのに放っておいて。それに、まだ助けてって声もたまにするんだけど。


いったいどこから?


わからない。住職もわからないから、俺にわかるわけないじゃないか。あの公園なのは確かなのに。悔しい。


「雪見、シャワーいつまでしてんだ!」


「あーごめーん」


相変わらず夜はキャバクラのボーイをしないといけない。修行後に行くため、必ずシャワー浴びてから着替える。そんで、友達の隼人はやとは俺の面倒をみてくれる。


「助けてって声が公園でするんだよ」


オーダー待ちの暇な時は、隼人とよくしゃべる。


「は…?怖い話はやめろ!」


怖がりな隼人。そんな怖いか?


「夜に行ってもわかんない」


「いや、雪見は肝試しでもしてんの?」


「違うけど」


「おい!しゃべるな」


わー先輩に怒られた。無駄話しすぎる癖がある。わかってるけど、隼人が止めてくれないんだよね?


「お前、前からいたか?別人か?」


客に絡まれるのも仕事のうち。


「同じ同じ!この子筋トレしてるんですってー」


キャバクラの女たちは、みんな年上だからか俺のことをからかってくる。


「ジム通いか?ふざけやがって」


「公園でトレーニングしてます」


「ねーそれなんのため?」


「修行なんです…」


うまく説明できはしないけど。


「は?お前Mかよ!痛めつけてほしいなら殴ってやろうか?」


「そういう修行ではないです」


「はー?」


そう言いつつ、お客が立ち上がって拳を掲げた。


「雪見ー!」


隼人の声がしたけど、なんなんだ。今忙しい。


拳は抑えた。


「人を殴ってしまうと、罪になりますよ」


「な、なんだこいつ」


「雪見、大丈夫…か?」

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