拝み屋になってみた

えいみ

取り残された

第1話

いつものように、公園で雪見ゆきみはトレーニングしていた。


「雪見、アメリカに帰ることにしたから」


瞬きをしているが、返事がない。


「えー!?それって、俺が一人前ってこと?ですか?」


遅い反応だ。


「違う。帰っていい許可が出たんだよ」


「…ってことは、俺はまだ一人前じゃない!?」


「そう。親父と頑張って」


「え、お寺の皆さんは修行しないんですか?」


「無理だよ。そんな能力ない。なんで拝み屋やるんだよ」


「え?」


「なに?」


「跡取りって、俺が住職になるんじゃ?」


「はぁ?雪見は学校も行ってないし無理!」


「えー、跡取りってやっぱり…俺の子供がほしいだけ?」


「いやいや、なに勘違いしてんの」


「勘違い?」


「拝み屋の跡取りだから。お前」


「つまり?」


「住職は別。最初はそうかと思ったけど、バカすぎて無理」


「そうなんですね…」


「まぁ、雪見。頑張って」


「え、…今から帰るんですか?」


「そう。じゃあ元気で」


雪見はびっくりしてる。俺のことは夢に見ないのか。危険なことじゃないと夢には出ないようだ。

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