閑話:対談する一人


夜、ベッドの上でエンドは目を閉じた。

今日見たのはとても変な夢だった。僕が僕と言い争ってる夢だった。


✤ ✤ ✤ ✤ ✤ ✤ ✤ ✤


この空間には何も無い。ただ、どこまでも空間が続いている。

僕が口を開いた。

「ねぇ、なんで勝手にテレーゼの声を殺したの?」

俺が口を開いた。

「......ごめん。」

「なんで謝るしか出来ないんだよ、元に戻してよ。」

「...出来ない。俺は声を奪う魔法しか知らなかった...。」

「元に戻せないならやるなよ!!!」

「誰にだって失敗はあるだろ!?」

その失敗が大きすぎるから言ってるのに。目の前の俺は必死に弁明をしていた。

「だって、助けが来るなんてお前も思ってなかっただろ!?」

「...まぁ、そうだけど...でも、僕はあの時ちゃんと決めたじゃん。」

「.......いや、なんかー...別にいいかなって...」

「全く良くないよ?」

本当に彼は僕なのか疑いたくなってきた。

「僕はあんたの「今世が最後」って言葉で慎重に生きてきたんだけどさ、なんであんたは慎重に生きれないの?」

「......いや...あのまま助けが来ずに売られたら可哀想だなって...恨まれるかなって思って...。俺だって今世が最後なんだからゆったりと暮らしたいんだよ?でも、なんでそもそも貧民街にいんだよ、おかしいだろ。」

「はぁ...?」

彼は何を言っているんだろう。

すると、彼はなにかに気付いたように

「あぁ、そうか、まだ思い出してないのか。」

と言った。

これは僕の夢で、頭の中での話なんだから少しは知っててもおかしくないけど。


「まぁ、本当に、すみませんでした!以降、勝手な行動は慎みます!」

俺が僕に頭を下げてきた。

「僕じゃなくてテレーゼに謝って欲しいんだけど......」

そう呟いたが、既に僕は夢から覚めていた。


✤ ✤ ✤ ✤ ✤ ✤ ✤ ✤


朝日が部屋に差し込んできていた。眩しい。

夢の中で、色々な出来事があったと思う。それがなんなのか僕にはもう思い出せないけど、それは少し僕の心を軽くした。


(今日は何をしよう。)

そう思いながら僕は階段を降りた。

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