第19話 賑やかな狩場

【EQ日記 8月26日 グレート・フェイダーク】


 エンチャンターがレベル9に達したので、長い間お世話になったグレート・フェイダークを離れることにした。


 思いかえせばここでは色々なことがあった。


 オオカミの大軍を見たことがある。ドルイドたちが変身したもので、集団で動き、進路に存在するすべての怪物を食い尽くしてしまう。

 まさにグルメの集団である。


 先日はケレシンの樹上都市でログインし、ペットを召喚して、リフトが上がって来るのを待っていたら、それに満載されていたのは、なんとオークの群れ。後5秒、ペットの召喚が遅れたら死んでいた。

 リフトの上に死体。どうやらここまでトレインを引き連れて逃げて来て、結局怪物に追いつかれて死んだらしい。EQは恐ろしい。何があるのかわからない。

(トレイン:怒り狂った怪物の群れを引きつれて逃げること。一匹が攻撃モードに入ると、ヘイトが伝染すると言って周囲の他のモンスターも加わりタコ殴りを始める。これがここのヘイトシステムと言われるものである)


 毎日のようにログを埋めるオークションの声。エンチャンターの故郷とでも言える所なので、実に多くの宝飾品を売っている。最高級のルビーベールに至っては900pp(プラチナ貨幣)の値で売っている。

 プレーヤー平均レベル10のこの場所で、そんなアイテムが売れるわけがないという事実に気づくまで、このうるさいオークションの声は延々と続くのであろう。キャラクターのレベルは上がってもプレーヤーのレベルはそうそう上がらないみたいである。


 このエリアはWカラナよりちょい小さい程度なのだが、多いときで107人が存在していた。

 これに対してオーク出現ポイントはごくわずかである。

 当然、獲物の奪い合いとなる。キルスチーラーなのか、それとも、トレインしている人を助けようとしているのか、皆目見当がつかない。

(キルスチーラー:他人が戦っているモンスターを横から攻撃しキルを取ること。当然経験値なども横取りされるので、中韓を除くまともなプレーヤーの間では暗黙の禁止行為である)

 死体を見失ってパニックになっている人、多数である。


 さらばグレート・フェイダーク。ここを去るのには感慨深いものがある。

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