第2話 暗闇の中にただ一人

【EQ日記 7月01日 QEYNOS】


 QEYNOSの街は上下二つのゾーンに分かれていて、その二つの間を曲がりくねった暗いトンネルがつないでいる。

 トンネルの中は真っ暗で何も見えない。暗視能力のあるダークエルフ以外は暗闇は本当の意味で真っ暗なのである。

 そしてその中は曲がりくねっている。

 どこの馬鹿だ? こんな所に街灯を設置しなかった奴は。

 現実なら壁を手探りで進めるがゲームではそうもいかない。壁に当たっているのか進んでいるのかも分からないのだ。手あたり次第に前進後退左右方向転換をするがどうにもならない。

 ここでゲームを封印し、二度とソニーのゲームはやらないと誓う手もあったが、それでもやりぬいた。

 時折脇を駆け抜ける他のプレイヤーの灯りでちらりと見える壁を頼りにじりじりと進む。


 三十分後、ようやく地上の光の中に出ることができた。

 私は解放された。

 EQの設計者は最悪である。

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