第1話 瞬殺
【EQ日記 7月01日 QEYNOS】
UO時代の友人に半ば強制される形でEQを始める。
キャラ名になかなか良いものが思いつかない。いつも使っているネット名は、すでに使われてしまっている。
迷った末にハップホーという名に決定する。船乗りが使うかけ声だ。敵に突進するときにハップホーと叫ぶのだ。我ながら馬鹿なことを考えるものだと感心する。
一人プレーが予測されるので、クラスはソロができるようにパラディン。種族はおとなしく人間を選ぶ。
聖騎士パラディンはそれなりの防御力と攻撃力があり、また弱いものだが治癒系の魔法が使える。そして特技として二時間に一回、強力なヒールが使える。
そのためソロに強いのである。
どうしてソロプレイを考えたかと言うと、この友人の名乗る人間はUOでも引きずり込んだ上で放置してくれたからだ。
仲間を求める癖に自分からは何もしてやらないというろくでもない性格なのである。
正直この人とオンラインゲームをやっていて面白いと思ったことが無いのだが、私は自分の言葉を守る。一度友達と言ったからには限界まで友達としての義務を果たす。我ながら損な性格である。
キャラ作成が終了したら、さっそくQEYNOSの街から出発だ。この街の名の由来はSONY・EQを逆さに並べたものである。
ええと、まずはどこぞのPALギルドへ出頭せよだって?
ええい、PALギルドなどどこにあるのか知らん!
街の人に話かけよう。
EQのチャットはアルファベットしか通らない。日本人同士ではローマ字で会話する。
ええと、こういう時の英語はっと。
"Excuse me. Sir. where is a Pal guild?"
変だとは思ったんだ。会話の際は一度会話入力バーを出さないとすべてショートカットキーとして扱われる。
”Pal”のAキーはアタックのAだ!
セリフにはならずに攻撃コマンドとして受け取られた。画面の中でハップホーが町の人間に襲い掛かり、レベル1の聖騎士は街のNPCに反撃されて即死する。
ゲーム開始後より約15秒後、ハップホー死す。
EQのインタフェースは最悪である。
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