第6話 僕だって!私だって!



『楽しくみんなで泳いでいたいだけなのに……そう思ってたら、誰かが叫んだんだ。「リーダーは食べさせない!俺も体当たりする!」』


 子供達が、わぁ!と声を上げた!


『その言葉に勇気をもらった僕とみんなは、力いっぱい叫んだ。「僕も!」「私も!」「ワシもじゃ!」「アタチも!」それから全員でクジラさんやイルカさんも一緒に、シャチのヤツに体当りしたんだ!そうすると……』

「「「「「「「………………!」」」」」」」

「あうー!だぁ!」


 子供達は息を詰めて聞いてくれている。赤ちゃんは可愛い声をあげる。

 絵里は、もっと人数が増えた事にも、もう気付かない。


『……シャチのヤツは「いたっ!いたたた!やめてくれ!もう食べようとしたりしないから!ぐすっ……うおおおおん!」と泣いて逃げたんだ!シャチのヤツをリーダーの勇気と頑張り、僕達の気持ちで追い払う事ができたんだ!』


 また、子供達から歓声が上がった。


(あと、ちょっと……もう少しで終わり!)


 絵里は頑張って話を紡ぐ。


『僕はあれからもっと、身体が大きくなった。シャチやサメが来ても、みんなで追い払えるようになった。勇気があれば、力を合わせれば、おっきなヤツラにも、絶対負けないよ。今日も海は青く澄んでて、太陽がキラキラしてる。今日もみんなと、どこにいこうかなぁ』


 そこで、絵里は、ペコリと頭を下げた。


「……カツ夫と海の仲間たち、おしまい」



 

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