第七話
「
「傭兵、とは……」
静の話を聞くうちに、喉も唇も干上がったようになっていた。
訊ねた声も上擦って、しゃがれた老人の声になる。
「傭兵は尾張の土豪や、鉄砲の射術に長けた野武士等にございます。土豪の将は信長への忠誠も厚く、頭もきれ、
「考えられぬ……」
元康は衝撃のあまり足元がおぼつかなくなり、櫓の壁に手をついた。
「本陣同士の決戦に、そのような金で集めた傭兵のみで臨むなど……」
諸国の大名家では傭兵は、あくまでも予備兵として用いられている。
家来は決戦の場で功績を上げ、所領を増やさなければ、何の為に仕えているのか、わからない。
譜代の家臣は、己の
その機会と功労を、与えようともしない国主が存在するとは、にわかには信じ難かった。
「殿」
静は惑乱する元康を、叱咤するような声を出す。
「今一度、お考えをお改め下さいませ。相手は一体誰なのか」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます