全裸フリチンで小学生を追いかけるジジイ、イーボー!

じょえ

本当にあったアホい話し④

 これは、すさまじいまでに命の炎を燃やしたおとこたちの、後世に伝えられるべき物語である。


 むかーしむかし、世の中がとてもおおらかな時代だったとき、今では完全にアウトどころか、一発退場レベルのお話しですが、彼らが輝いているその瞬間を、大目に見て頂けたら幸いです。




『本当にあったアホい話し』④

 全裸フリチンで小学生を追いかけるジジイ、イーボー!




 イーボーは小学校の近くに住んでいるジジイだ。

 だから通学路の途中に家がある。


 イーボーの家は見るからにボロ屋で、開きっぱなしになっている玄関から中を覗くと、玄関の中は昔ながらの土間の通路になっていて、見るからに大昔の家でボロボロだ。


 イーボーんはしょっちゅう玄関が開きっぱなしになっている。


 だから小学生たちは学校帰りの途中に、その玄関に向かって、

「やーい、イーボー!」

「イーボー出てきてみろよー!」

「キチ〔ピー〕イーボー!」

 などとデカイ声で挑発するのだ。


 ※

 今では、いくら田舎の子供だからと言っても、そんなガキ・・・いや、そんなお子様はどこ探してもいらっしゃらないとは思いますが、ちょっと昔にはそー言う躾のなってないお子様がたがゴロゴロ居たのです。

 かく言うわたしも、その躾のなってないクソガキ(失礼)の内の一人でした。



 躾のなってないお子様たちが 、全く知り合いでも何でも無いおじいさんの家に向かって、大声で誹謗中傷をする事が日常の風景だったこの時代(って書くと何処の異世界の話し? って感じですが、ほんのン十年前の話しで、何処でもそうだった。ハズだ!)、冒頭に書いた様に、おおらかな時代だったのです。

 

 たまに子供たちの挑発に反応してイーボーが出てくる事があります。


 その姿は、衝撃の全裸!!

 素足に、フリチンだ!!!


 ちょっとぶよぶよの真っ白い身体に、動物性油でギトギトになった顎まである白髪混じりの長髪(頭を洗わないから自分の油(動物性)でギトギトになる)を振り乱して、鬼の形相で現れるイーボー!


「なんじゃぁぁぁぁ*%%5+-52%:+*'$¥"3_"」


 たいがい何を言っているかは聞き取れない。ってゆーか聞いている暇はない。


 イーボーは玄関を出るなり、髪を振り乱して裸足で全力疾走だ!


 出てきた瞬間逃げる小学生!


 イーボーと小学生の全力疾走の追いかけっこ。

 恐ろしい事に、コレがイーボーと小学生たちの日常なのだ。


 ジジイと小学生の追いかけっこ、実はけっこう実力伯仲のい勝負だ。


 ただし、相手はフリチンだ。


 およそ2~3軒分走ればイーボーは帰っていくので、ほとんど小学生が逃げ切るが、たまに転んで怪我をする子や、あまりの恐怖に泣き出す子は居た。

 しかし、イーボーに『叩かれた』とか『殴られた』と言う話しは聞いていない。


「イーボー怖ぇ」

 と言うのが一般小学生の反応なので、イーボーんの前は静かに歩くのがセオリーだ。


 ただこの時はイーボーをからかうのが小学生たちの間で流行ってしまったのだ。

 だからイーボーVS小学生はちょっとした話題になった。

 もちろん今ではコンプライアンス的にイーボーも小学生も、どちらも完全にアウトだ。





 その『イーボーをからかう』が流行ったときは、わたしが小学五年生だった。


 夏休みになる少し前のある日の放課後、わたしのクラスではある物でザワついていた。


「見ろ! トランシーバーを買ってもらったんだぜ!」


 親に買ってもらったトランシーバーを見せびらかすために、金回りの良い土建屋のお坊ちゃま(ピッキー)が、鼻高々にみんなに自慢していた。


「「「「おぉ! すげぇ!」」」」

 クラス中の男子が食いついた!


 中でもガキ大将の【ヤマサ】はそのトランシーバーをいたく気に入り、

「オイ、そのトランシーバー使ってよぅ、2チームに分かれて連絡取りながら、イーボーん襲撃に行こうぜ!」


 もはや犯罪計画である。


 決行は次の日曜日。


 わたしのクラスの3名(わたしとひゃろーとピッキー)がヤマサの家の前に集合した。

 彼の家には既に数名のヤマサんの周辺に住む子供たちが集まっていた。

 その中にはタッカーも居た。

 いわゆる悪ガキ軍団だ。


 チームは『ヤマサチーム』と『ひゃろーチーム』の2チームだ。

 わたしは玄関側から攻める『ヤマサチーム』。

 タッカーは裏山から裏庭を攻める『ひゃろーチーム』だ。


 イーボーの家の裏手は、小高い山になっていて、その山の上には神社が建っている。

 神社の階段を上る途中で、階段を無視して横の山肌に飛びこめば、イーボーの家の裏庭を眺める絶好のポイントにたどり着く。


 ひゃろーチームが裏山に陣取り、準備は整った。

 ヤマサのトランシーバーからひゃろーの声が鳴った。

「ヤマサ、着いたよ!」


「よし! 作戦開始だ!」

 ヤマサもトランシーバーに話す。


 イーボーの家の表と裏から攻撃をする2面作戦が始まった。


「「「イーボー、出てこぉぉぉい!」」」

 玄関側の小学生が一斉に声を上げる。


「「「やーい、イーボー、出てきてみろぉぉ!」」」

 裏山から声を上げた小学生たちは、手に持っていたミカンを裏庭に投げ込んだ!


 所詮小学生だからこの程度なのだが(笑)、本人たちはいたって真剣だ。


 イーボーは直ぐに出てきた! 玄関側だ!


 この時は昼間なのにヨレヨレの寝間着のような服を着ていた。フリチンじゃない!

 

「うわ! 来た! にげろぉぉぉぉ!」

 ヤマサの号令でヤマサチームは一目散にバラバラな方向に逃げた。

 

 わたしはそのまま家に帰ったw。

 雰囲気が楽しめればそれで良かったのだ。(今思えば、それも人としてどうかと思うが)


 次の日学校に行ってみたら、ひゃろーチームに居た小さい子(小学三年生)が、昔の防空壕跡に逃げ込んでイーボーに追い詰められ、泣いて謝ったという話を聞いた。



 正直この話しを文章に起こしていて、『道徳的にも色々大丈夫なのか?』と心配になってきたが、大昔のことなので大目に見てやってください。



 秋が過ぎ、冬に入ったくらいの頃、イーボーは救急車に連れて行かれ、以来彼の姿を見ることは無かった。


 イーボーの真実は判らないが、子供を叩いたりしなかった独り暮らしのイーボーは、子供たちが来るのを待っていたのだろうか?


 それともただ本気で怒っていたのだろうか?

 全裸で追いかけてくるし。


 全裸のジジイに全力疾走で追い掛けられるのは、本当に恐怖だったことは確かだ。

 




 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


〈あとがき〉

はじめましての方、はじめまして!


いつも応援してくださる方、大好きです!


【じょえ@ココナッツミルクは苦手です】と申します。


全裸で追いかけて来るのが綺麗なお姉さんだったら良かったんですが・・・それはそれでトラウマ案件だなw

 


 ここまで読んでいただきまして、ありがとうございます。


 宜しければ、♡や ★★★で応援をよろしくお願いいたします。


 みなさまの清き一票を、下記のリンクから飛んで、ポチッとなw


 全裸フリチンで小学生を追いかけるジジイ、イーボー!

https://kakuyomu.jp/my/works/16817330650682093579



他にはこんなお話しを書いています。


ちょっと留置場に入ってきた。

https://kakuyomu.jp/works/16817330650173907337


本当にあったアホい話し①

中2のカンジ、新幹線を数時間止める! その激闘の記録

https://kakuyomu.jp/works/16817330650173907337


本当にあったアホい話し②

「紙飛行機自宅全焼。タッカー(小学生編)」

https://kakuyomu.jp/works/16817330650448609758


本当にあったアホい話し③

そんな理由で自殺騒ぎ? レスキュー隊まで来ちゃったよ!? タッカー(中学生編)

https://kakuyomu.jp/works/16817330650467284311



 誠にありがとうございます。


 感謝しております。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

全裸フリチンで小学生を追いかけるジジイ、イーボー! じょえ @aio16

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ