第5話 出会い

「手に掴まって。………よっと」

 女性の手を握って引き上げられた先には、絶望しかなかった。

「はっ、えっ?どうしてこんな事に」

 目の前には俺がいた所と同じようなクレーターのような物が無数にあって、建物が無くなっている。

「どう?これが今の現状となってるわけだけど」

 女性が喋り始めたからそっちを向くと、思ってたより綺麗で真っ白な白衣を着た人だった。さっきまでは目の前の事しか見えてなかったから、こんな人が俺なんかと話している事がなんだか恥ずかしくなってきた。

「ここが僕の居たビル街だったと考えると、絶望でしかないですね。あんなにあったビルが一ヶ月もしないでこんなになってしまったんですから」

「ふむ、かわりように絶望ってところかな。やけに落ち着いているけど、現実を受け入れていない感じかな?それともオタク?」

「なんでかわからないですけど、落ち着いています。きっと寝てしまう前に起きた現象が気持ち悪かったので、そのせいかと」

「それは黒い煙を吸った、とかかな?」

「いや、黒い煙を見ましたけど、その前に同僚が狂ったようになって自殺したのと、逃げろってのが頭で何個も反響して気持ち悪かったので、その部屋から急いで出たので、黒い煙は吸ってないはずです」

「逃げろと感じていた例は初めてだな…」

 女性は何かを考え始めた。

「今回の事で何か知ってるんですか?」

「ん?あぁ悪かったね。私は見ての通り研究者で、今の研究対象は前々から起きている町が消える事件をやっているよ」

「それって、世界的に頭がいい人なんじゃ」

「違う違う。いや、ちがくもないけど、何の成果もあげてないただの研究者だよ。なかにはPSC?から派遣されたって人もいるけど」

 それって怪物を扱ってるチームなんじゃ………。

「まぁとりあえず研究所に送るよ。今は避難所になってるしね」

「ありがとうございます」

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