第3話 事件勃発

会社に着き、早速デスクワークをとりかかった。あまり話さない性格のため、特に話さずに座って、昨日の残りにとりかかるのが習慣付いてしまっているため、部長には少し怒られるが、そんなこと気にせずにマイペースで仕事にとりかかる。そんなにも出世したいわけでも、給料をあげてほしい訳でもないため、周りに無愛想と言われながらも、最低限の給料を貰えればいいため、マイペースが外れないのだろうが。

そんな事を考えていると、突然奇声を発した者がいた。あれは確か斎藤?どうしたのだろうか?すると彼は勢いよく立ち上がり、ナイフを持って、部屋全体に聞こえるような独り言を言い始めた。

「あぁ。頑張っても頑張っても幸せになれない日々。もうこんな世界なんて!」

斎藤はナイフを自分の首に向け、刺そうとしていた。それを見過ごすはずもなく、周りの奴らが止めに入ったが、一向に止まりそうもない。流石に止めに入った方が良いだろうと、体を動かした時だった。急に斎藤が倒れた。他の同僚は気がつかなかったらしいが、座っていた俺は見ていた。誰かが斎藤の足に何かを刺したのだ。それは小さい瓶に液体が入って入る物のように見えた。そんな物が刺さったからなのか、より一層声を荒げ、

「誰だこんな奴を刺したやつは!この会社にとっても不要な奴ってことか!なら望みどうり居なくなってやる!」

と言い、取り押さえていた手を振りほとき、自分の手で首を浅く切った。いや、浅くしか切れなかった。勢いよく手を振ったのにも関わらず、切れたのは一ミリ入ってるかどうかだ。傷口からは血がたれている。が、それ以外にも何か黒い煙のようなものが出ている。あれはなんだ?と考えているのは俺だけで、他の人たちは「うそ…」などと真実を受け止められないでいる。一ミリも入ってないならまだ生きているだろう。そう思う者もいるだろうが、彼は白目をむき、動かないで倒れている。だが俺の注目しているところは出ているものだ。あれはなんなのだろう。毒か?いや、毒ならあんなのにならないだろう。他は………瓶か?そういえば何かを刺されていたな。周りは…気にしていないな。他に思いあたる点は…無いな。ここまで考えているうちにも何度も逃げろと、勘が言っている。まるで未来が見えているように勘が叫んでいる。少し嗚咽感がしてくる。手で押さえながら廊下の方に逃げていく。少しでもこの嗚咽感に苦しれられないように頑張って歩く。廊下に着いても減ることはなく、壁に手をついても歩けなくなってしまった。座ろうとしてかがむ直前、背後から異常な程の風が吹いてきた。後ろは事件のあった方。こんなにも風が吹いてくるのはおかしい。だが、長く続く訳でもなく、一瞬だけだった。こんな風が吹き続けたら建物が持たなくてもおかしくない風力だった。そのことに安心しながらまた歩き出したのだが、先程の風だけで崩れたのか足元が不安定になり始めた。周りからは悲鳴、心のなかで逃げろと言いまくられる。通常状態でいられるはずもなく、倒れ込んで意識を無くした。

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