第88話 レベル30
二十一層から次々階層を潜り――――二十五層を越えて、さらに上層を目指す。
二十六層。
以前聞いていた通り、やはり景色は変わらない。大きなビル群が立ち並んでいる。
全く同じ景色ではないけれど、せいぜいビルの大きさや配置が変わっているだけで、全体の雰囲気は全く変わってない。
ゴブリンや蜘蛛ばかりかと思いきや、二十六層からは、赤い大型トカゲが歩いていた。
早速倒してモンスターカードでドロップ率を2.2%から2.3%に上昇させる。
そのまま戦っていると――――
――【レベルが29から30に上昇しました。】
――【新しいスキル『カードコンボ』を獲得しました。】
いつの間にか上がったレベルが遂に30に到達した。
前回上がった時が二十五層なのだが、あれから暫く下層で色々試していた。
「にぃ~! レベル上がった~!」
「六花もだね。僕もだよ」
「私は今回新しいスキルだったよ。たぶんパーティーで使えるスキルだと思う。多分みんな驚くと思う!」
「僕も新しいスキルだが、使い方はイマイチ分からないな。カード関連だ」
「じゃあ、すぐに検証に――――と言いたいところだけど」
急に話を止める六花。
「せっかくだからこのまま狩り倒そう~私のスキルも後から凄さを伝えやすいと思うから!」
何か企んでいるようなので、ここは素直に六花の言うことを聞くことにする。
続けて赤い大型トカゲのレッドリザードをどんどん倒していく。
ドロップ率が1%超えたあたりからもそうだったが、2%を超えるとよりドロップが目立つ。
最大で4%。そこまで上げ切ったら一体どうなるやら……。
「にぃ~せっかくだから上に行くよ~」
六花の企みに沿う形で僕達は二十六層から二十七層に入った。
二十七層の魔物はレッドリザードを黒くしたブラックリザード。
モンスターカードのドロップ率を2.3%から2.4%に上昇させる。
六花の無茶ぶりで、今度は二十八層に入る。
二十八層には二種類のゴブリンがいた。
一体はゴブリンアサシンに似てるが、アサシンよりは少し弱そうで、シーフより強そうだ。
もう一体はウォリアーをより強そうにした感じ。
敵を見つけるとすぐに六花の光の槍が飛ぶ。的確に相手を貫いて倒していった。
強いはずなのに、僕達も強くなったおかげで難なく倒すことができて、モンスターカードのドロップ率を2.4%から2.6%に上げられた。
「では次~! 二十九層~!」
六花の勢いを止めることができず、僕達はさらに上層に向かった。
二十九層も景色はそう変わらない。
現れたのは下層のゴブリングラディエーターと、灰色の大型蜘蛛モンスター。
二十九層もキーとなるモンスターがいるのかと思ったら、意外にもそうではなかった。
「さて、そろそろ時間だね~? にぃ」
「そうだな」
丁度モンスターカードを拾ってドロップ率を2.7%に上げたところで六花が声をかけてきた。
「よし、ではここで私が手に入れた新しい魔法を見せます~!」
そう言って三十層へ入る入口の近くまでやってきた。
両手を合わせて祈る六花。
そして、とんでもない言葉を放った。
「――――ワープポータル」
六花が立っていた地面に水色の魔法陣が浮かび上がって、消えた。
「よし、これでおっけ~みんな集まって!」
みんなで六花を囲う。
「――――ワープポータル発動~」
そう呟いた瞬間、景色が一瞬で切り替わり――――外の景色に変わった。
「ええええ!?」
「えっへん! これが新しい力だよ~」
「六花ちゃん凄い~!」
「えへへ~」
みんなで六花を褒め始める。
やっぱり僕のスキルなんて霞むくらい、六花が凄いんだなと感心した。
その足で家に帰ってきて、作戦会議を行う。
「「「「はいっ!」」」」
「え!? み、みんな? どうしたの?」
みんなが僕に注目する。
「どうしたのじゃないよ? ケントくんの新しいスキルが気になって仕方がないんだよ?」
「あ、あはは……僕は六花と比べて大したものじゃないよ?」
「どんなものなの?」
「それが、実は僕もよく分からないんだ。説明文によると――――『装着モンスターカードの種類によって追加効果が発動する』らしい」
「追加効果!?」
「うん。でも詳細は何も書いてないし、どんなものかも分からないかな?」
すると凪が何かを考え込んだ。
「よし! ケントくん。モンスターカードを全て出して。みんなも!」
凪の言葉通り、みんながモンスターカードを外して外にだした。
僕は倉庫に入っている分も全て取り出す。
凪が装着していたカードはどれも初めてみるものばかりだったし、花音と由衣、絵里さんのカードも初めてみるものばかりだ。
「じゃあ、これを装着してみて」
凪が言うとおりに装着してみる。
それから凪が進めるカードをどんどん装着と脱着を繰り返しながら、花音が効果を紙にまとめた。
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