第42話 黒龍漆聖刀
僕の剣が完成した次の日。
みんなと話し合って、これから毎日クラウンダンジョンの十一階からではなく、一階から上ることにした。
十階に到着するまで僕の出番はなく、走りながら花音と六花の魔法で殲滅しながら進んだ。
「花音ちゃんも大概だけど……六花ちゃんの実力には驚くわ…………一体どんなスキルがあれば無詠唱で強力な魔法を飛ばせるのかしら」
「えへへ~! にぃの妹だからねっ!」
「そうね。そう言われても納得するわ。こんなに走っても疲れないなんて……力のステータスを上げると本当に楽ね」
絵里さんの最近の口癖はこれだ。
普段は魔法の威力を上げてくれる魔力と、魔法を沢山撃つための魔素を上げてくれるモンスターカードを重点的に集めたらしい。
というのもあり、僕として助かるのが絵里さんに一枚目に装着してもらったモンスターカードで、僕の魔素は3しかないのだが、絵里さんのおかげで魔素量が『3+300』となっている。
魔法って僕が持つ『カードスラッシュ』とは比べ物にならないくらい消費魔素量が多いので、300という数値は足りない程らしいけど、六花の光の槍は消費魔力が5である事を鑑みれば、六十発さらに打てるようになったのは大きい。
元々連発していたので、一体魔素量いくつなのか不思議だけど、光の槍を使う分には撃ち続ける妹が誇らしい。
十階に着くと今度は絵里さんの出番だ。
僕以外のみんなによる防衛中に絵里さんの『ファイアストーム』が炸裂して魔物を殲滅する。
最後に残っているゴブリンジェネラルと対峙するのは――――僕一人だ。
今まで一人でジェネラルと戦うのは無茶ぶりだったし、実際凪と六花が一緒でも僕の力は大して役には立たなかった。
もちろん、メンバー全員でそれぞれの力を利用して勝てたのは理解している。
それでも、戦いでみんなとも肩を並べて戦いたい。
実戦では初めての腰に掛かっている黒い柄を右手で握る。
右手に凄まじい力が伝わってくる。昨日は気づかなかったけど、この剣を握っただけで力が、勇気が湧いてくるようだ。
「初めまして……だな。これからよろしく頼む。相棒――――――
鞘から出て来る感覚すらないくらい、スルッと抜けた黒い刀身をジェネラルに向ける。
黒龍漆聖刀という名を持つ僕の新しい相棒は、刀身は長剣の八十センチに比べて短い五十センチだ。さらに刀身の横幅も一回り小さくなっていて、短剣と長剣くらいのサイズとなっている。
そして最も大きく違うのは普段使っている剣は両面が刃の状態になっているのに対して、黒龍漆聖刀は
黒龍漆聖刀から禍々しいオーラが立ち上る。
――【黒龍漆聖刀の持ち主が、個体名『田中栞人』に確定しました。】
――【黒龍漆聖刀の特殊スキルが発動しました。『黒龍ノ加護』により追加効果『黒炎』が発動。『黒金剛石ノ加護』により追加効果『金属硬化』『金属再生』が発動。『神級鍛冶師ノ加護』により『切れ味超絶上昇』『装備者一体化』を発動。】
握っただけでとんでもない力が伝わってくる。
今はまだ僕が持つには相応しくないない強すぎる武器なのかも知れない。
だからって現状に絶望して落ち込むことはない。僕が目指すのはメンバーたちの立派なリーダーになること。絶対に強くなると誓った。
全速力で走り込んで、ジェネラルと激突する。
真っ先に構えた大きな盾。巨大な壁にも感じてきたその大盾に向かって飛び込む。
今まで貫くことができなかった大盾を、丸々ぶった斬る!
まるで鋭利な包丁で豆腐を斬るかのように、僕のための前を覆っていた大盾が真っ二つに割かれて、盾の隙間からジェネラルの顔が見えると同時に盾が黒く透ける炎が燃え上がる。
僕には全く熱さは感じないがジェネラルが盾を急いで手放す。
割かれた大盾が地面に落ちる前に、僕の体はジェネラルの体を目掛けて飛んでいた。
力ではない。飛び込んだ速度に乗せて、刀で円を描きながら通り過ぎる。
そして――――――ジェネラルの体の上下が離れた。
――【レベルが19から20に上昇しました。】
――【新しいスキル『カードバースト』を獲得しました。】
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『カードバースト』
カードホルダーに保管しているカードの枚数に応じて威力が上昇する広範囲攻撃スキル。使用魔素10。再使用六十秒。
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名前:田中栞人
才能:カードコレクター
加護:聖域
レベル:20
魔素 : 4 +300=304
力 :20×130%+110=136
器用 :20×130%+ 60= 86
素早さ:20×130%+ 50= 76
魔力 :0
武器 :黒龍漆聖刀(攻撃力+3500)
防具 :なし
装飾品:なし
カード:ゴブリン+
カード:ゴブリン+
カード:ゴブリン+
カード:ゴブリン+
カード:ゴブリン+
アクティブスキル:
『カードスラッシュ』『採取ノ極』
『カードバースト』
パッシブスキル:
『カード』『アップグレード』
『カードリンク』『カード・レプリカ』
パーティーメンバー:
『田中六花』『綾瀬凪』
『栗原花音』『志賀絵里』
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