第37話 ジェネラル戦-後編
ゴブリンジェネラルは体の大きさもさることながら、意外にも速さが厄介である。
そして、気になるのは大盾だ。
「六花! 魔法で盾を重点的に狙ってくれ!」
「えっ!? 盾!?」
「肩を狙って撃ってくれると勝手に防ぐと思う!」
相手が魔物なら人間の言葉は理解できないはずなので、大声で作戦を伝えても問題ないと思う。
六花はすぐに僕の指示通り光の槍をジェネラルの肩に目掛けて連射で応えてくれる。
肩を守ろと自然と大盾を
自らの大盾で視界を隠したジェネラルの足下を斬りつける。
それと同時に凪が大きな剣を持つ手を高速で斬りつける。
ジェネラルが何かを行動に起こす前に離脱すると、すぐに援護の光の槍が飛んでくる。
わざとタイミングを合わせてくれた六花。
高威力の光の槍がジェネラルの肩に直撃して、悲痛な叫びをあげる。
巨体なだけあり、叫び一つでも凄まじい風圧を周囲に放つが、それでも光の槍は問答無用にジェネラルに刺さっていく。
急いで飛んできた光の槍を剣で跳ねる。
ジェネラルの剣と光の槍がぶつかり、真っ赤な火花を散らしながら金属同士がぶつかる甲高い音を周囲に響かせる。
「カードスラッシュ!」
火花が散ると同時に、その間を縫うかのように僕が放った虹色の光がジェネラル頭部に直撃した。
いつもの『カードスラッシュ』はダメージが低いので全く火力にならないのだが、ジェネラルは痛そうに顔を両手を覆った。
地面に分厚い盾と剣が落ちて重みで小さな砂風を起こし、鈍い音が聞こえた。
実は攻撃スキルには普通の攻撃とは違う特別な力がある。
数字に例えるなら、僕の力130に鋼鉄の長剣+の攻撃力130を足すと、純粋に260という火力が生まれる。
詳細は伏せるが、魔物によって攻撃が通用する最低ラインの力が存在して、ジェネラルは100となっている。もし力が100だと、どんなに良い武器を持っていても攻撃が効かない仕様になっている。けれど、僕の力は100を超えているので、僕が振るっている剣がジェネラルに当たった場合、火力160というダメージが与えられる事になる。
ダメージは火力から防御力を引いた数字となるので、火力260からジェネラルの肌部分の防御力100を引いて、160のダメージを与えた事になる。ただし、これが肌ではなく鎧か盾の場合、鎧も盾も防御力が300のため、僕の火力では貫けないことになる。
では話を戻して攻撃スキルについて、攻撃スキルには三つの効果があり、一つは純粋に火力に追加火力を足す。二つはスキルによって攻撃判定が変わるので広範囲攻撃スキルなども存在する、三つ目は純粋防御力――――つまり、肌部分に当たった時のみ、相手が持つ純粋な防御力を無視する事ができるのだ。
つまり、僕が放つカードスラッシュはカードホルダーにカードが六枚入っているので、僕の火力260にスキル威力で+7なり、火力が267となる。
これを放って鎧か盾に当たっても防御力300を貫通できないのでダメージは0となる。
しかし、肌部分に当たった場合は本来引かれるはずの防御力を無視してダメージを与える事ができる。これによってジェネラルの顔面に直撃した『カードスラッシュ』はダメージ267を与えた事になる。
これは全ての攻撃スキルが持つ、『純粋防御力無視』という特殊な能力があるのだ。
さらに、僕の『カードスラッシュ』は何も
という現状があって、僕のカードスラッシュが顔面に直撃したジェネラルが苦痛を感じるのも無理はない。
それに凪から教わった通り、カードスラッシュを
というのも、カードスラッシュは全部で三か所に判定があるらしく、真っすぐ突くように放った場合、全弾ヒットしたら三ヒットとなる。
一発のカードスラッシュがジェネラルの顔面を捉えて与えたダメージは801。
苦痛で剣と盾を放つ程の強烈な一撃だ。
しかし、ここで止まるわけにはいかない。
パニックに陥ったジェネラルを何度も斬りつける。
僕の剣が通るのは肌の部分のみなので、鎧の隙間を狙っていく。
剣術を意識した練習を繰り返してきたおかげなのか、狙った部位を上手く斬れるようになった気がする。
もしかしたら器用が上昇しているからかも知れない。
とにかく僕は夢中でジェネラルの肌の部分を何度も斬りつけてダメージを与えた。
途中、六花の援護もあり、ジェネラルにこれ以上暴れさせることなく――――――巨体が倒れ込んだ。
そして、その前に虹色に輝くモンスターカードが一枚姿を現した。
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