第19話 魔石採取ノ極
「あれ? レベルが上がった訳でもないのに、新しいスキルを獲得した?」
間抜けな声をあげてしまうくらい、急な事に動揺してしまった。
「新しいスキル? レベルが上がっていないのに?」
「う、うん。『魔石採取ノ極』というスキルらしい」
「あ~! あれだね。決まった行動を繰り返す事で『極』を目覚めさせることがあるんだ。そうか……魔石採取にも極があったんだね。探索者ギルドの端末にそういう情報はなかったから、もしかしたら何か難しい条件があるのかもね」
同じ行動を繰り返すとスキルを獲得するなんて初めて聞いた。
それくらい珍しい事なのかも知れない。
「ケントくん。六花ちゃん。暫くそのスキルの名前は口外しないでおこう」
「「分かった」」
「それはそうと、スキルの内容はどういう内容なの?」
凪に言われて、早速新しく獲得したスキルを選択してみる。
---------------------
『魔石採取ノ極』
魔石採取を極める事で触れずに魔石を採取する事ができる。『ステータス』に『魔石倉庫』が追加される。
---------------------
「触れずに魔石採取ができるらしい? それに『魔石倉庫』となるものが使えるようになったみたい」
「じゃあ、これを入れてみる?」
両手の魔石が大量に入っているバッグを前に出した。
バッグの中に見える魔石にゆっくりと手を貸さず。
魔石に手を触れると、目の前に選択肢が出現する。
---------------------
魔石を倉庫に入れますか?(行う/行わない)
---------------------
行うの方を念じると、僕の手に触れていた魔石がその場から消えた。
そして『ステータス』画面の隣に新たな画面が追加されて『魔石倉庫』と書かれており、『Fランク魔石×1』と表記されていた。
他にも0ではあるが他の魔石の表記までされている。
---------------------
『魔石倉庫』
Sランク魔石×0
Aランク魔石×0
Bランク魔石×0
Cランク魔石×0
Dランク魔石×0
Eランク魔石×0
Fランク魔石×1
廃棄魔石×0
---------------------
各ランクの魔石が表記されていて、一番下の廃棄魔石という部分がとても気になる。
手を伸ばして選択してみる。
---------------------
『廃棄魔石』
傷ついたり破損した魔石。統合させる事で特別な魔石を作り出せる。
---------------------
「傷ついた魔石を統合させる!?」
「「!?」」
驚きすぎて声に出してしまった。
「ケントくん?」
「どうやら破損したりと買取できない魔石を統合させる事ができるみたいでな。統合させる事で特別な魔石を作る事ができるみたい」
「特別な魔石?」
「それは僕もよくわからないけど、試しにやってみよう」
少しもったいないが、魔石一人を取り出してわざと剣で傷を付ける。
小さな傷なのに、パリンと硝子が割れる音が響いて紫の色から少しくすんだ色に変わっていく。
昔は魔石採取に失敗してこういった売れない魔石を何度か出した事があった。
今では懐かしいとさえ思う。
早速壊れた魔石を入れると、魔石倉庫に『廃棄魔石×1』と表記された。
さらにその右側に『統合』という文面が現れたので押してみた。
――【特別な魔石を作りには、廃棄魔石があと9999個足りません。】
なるほど。
統合させるにも廃棄魔石を一万個も用意しなくちゃいけないのか。
「残念ながらそう上手くはいかないみたい。廃棄魔石を後9999個用意してくれと言われたよ」
「一万個ね……それはあまりにも多すぎるから、わざわざ作るのはもったいないわね」
「だな。これはひとまず後回しにしておこう」
「にぃ~疲れた~早く帰ろうよ~」
「そうだな。今日は六花が頑張ってくれたおかげで魔石が大量に手に入ったからな」
一度六花の頭を撫でてあげて、魔石がたんまりと入ったバッグを持ち上げ、そのままダンジョンを後にして買取センターに向かった。
凪から『アイテムボックス』のような『魔石倉庫』は今しばらく、他の人にバレないようにしたいという事で、今日はバッグに魔石を入れたまま持って来た。
今日は今までの狩りでもっとも最多数で、何と一日で二百個に上った。
一日でこれだけの魔石を持ってくる人はいないようで、受付嬢は大いに驚いていた。
Fランク魔石は一つ1,500円なので、今日だけで30万円となった。
僕のお金は全てオーダーメイドの剣のために貯金に回すようにして、六花と凪に奢ってもらう運びとなった。
いつかもっと強くなったら色々奢ってくれるといいと凪も笑顔で納得してくれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます