第2話.ラジヲの時間。

( ´・ω・` )昔、ラジヲを作っている音響機器メーカーのサービスマンの人と酒呑んだ時に聞いた与太話です…。

(#◎皿◎´)ラジオ作ってる会社…。未だあるのか?



あれはもう昔の話でね。

『お宅のラジヲを新品で買ったけど…。某B湖のFM局は入るんだけど。ソレより近くのD-FM局が入らないんだ!!』

と言う不具合の問い合わせ電話があってね。

修理受付センターから交代して電話口で端末を操作してのお客さんの住所を見た。

それで各局の送信アンテナ局の住所を思い出しながら話をした。

「あーいえ、B湖FM局からは距離在るから入らないと思いますよ?間に山もあります。」

確か記憶にあるB湖FM局は地方FM局で送信出力は省電力だ…。

後で調べたらショッピングモールの上に在るスタジオだ、それほど立派な送信アンテナも無い。

製品の受信性能は設置状況の環境による。

特に東海圏の人は妙に性能に拘る人が多いので…。

面倒だがサービスマンとしか話をしない人が時々いる。

性能以上の品質を求められるのは意外に多い。

問題は何処で線引きをするか?だ。

そこら辺を、修理受付センターから技術的な話をサービスマンに振られる話は珍しい事ではない。

直接話すお客さんから何が不満なのか理解してお客さんの納得を探すのだ…。

無論、無限に相手の言い分を聞く事はできない。

損得分岐点…。

企業戦士は利益を求めるのだ…。

直接、話を聞くと…。

お客さんユーザーの不満が見えてきた。

書面やメールでなく、直接電話越しでの話しでもお互いの理解度が深まる場合がある。

『いや…。でも家からだとB湖FM綺麗に入るんだ、ステレオモード表示も付く。問題はソレより近くのD-FM局!受信感度が悪い。雑音が多い。』

言いたい事は分かった。

ただし…。現実の状況は不明だ。

B湖FMが感度が良い理由が判らない。

アンテナの指向性の問題かもしれない。

設置状況を確認して最悪測定器を持って訪問するしか方法は無いだろう。

そこまで面倒な話の担当になるは勘弁してほしい。

この相談は受けた時点で色々不可解な情報が多かった。

「おかしいですね…。(B湖放送は山の向こうだ…。他の山で反射しているのか?)一応、製品を見させてください。」

で、預かって。調整を確認したら悪くない。

再調整してお客さんに返却。

販売店からの連絡電話で。

『あの修理品。”お客さんが家で確認したら変わってない”って怒っていた。』

まあ。

こうなるとクレーム何ともならないので営業に連絡して。

買ったお店経由で新品交換になった。

で、サービスから手を離れたので忘れていた。

新品交換に成っても感度が変わらなくて。

営業とお店とお客さんで話し合いになっていたらしく。

忘れた頃に。

担当の営業から長い電話で”なんとかしてよー。(意訳)”

売ったお店からも”他にも沢山買ってくれた良いお客さんなんで…。なんとかなんない?”って話になって…。

仕方が無いから、頭下げて、もう一回預からせて貰った。

今回はサービスパーツの同調コイルやら、バリコンを数個、取り寄せて中で一番特性の良いヤツを付けて調整して返した。

その製品が偶々ディスクリートのアナログRF回路だから出来るけど。

当時は「こんなん久しぶりにやるなー。」と呟きながら部品を一個一個測定して選定しながら取り付けて調整したよ。

流石に会心の受信感度だ。

「こんなにぴっちり会うのは久しぶりだな(笑)」

で返却した結果。

お客さんは…。

「D-FM局は入るように成ったけどステレオに成らない。B湖FMはステレオモード表示ランプも付く。ソレより近くのD-FM局ステレオモードランプが付かないんだ。」

って。

電話で。

で。

もう。

これ、打つ手はない。

「これ以上は製品ラジヲ本体の方で対応できません。」

って話で終わったんだ。

一方、お客さんは何とか感度を上げようと。

家にFM専用アンテナ立てて…。

D-FM局を何とかステレオ受信しようと頑張ってたらしくて。

半年後位に売ったお店から”あのお客さんのラジヲ本体を返品して、新発売になった新型のラジヲを購入になった。”と聞かされた。

聞いた時は正直、忘れてて”ほ~ん。(営業さんには悪いことしたな…。)”としか思わなかった。

そうしたら直ぐに。

お客さんがサービスコールセンターに”旧製品前の方が感度が良かった!!修理したサービスマンに連絡取ってくれ!”って。

コールセンターにサービスマン指定して話が来るのは珍しい。

お客さんと電話で話をして、出した結論は。

「B湖FMが受信する理由は不明だが、D-FM局はこれ以上の感度的にクリアな受信は無理、新型はIC変調回路なので手が出せませんが、前回の旧製品はRF回路が多いので部品のすり合せで高感度に成ってしまった結果です。」

『新型と旧型どっちが良いんですか?』

「うーん、新型は触る所が無いので面白みが無いですね。」

で、お客さんが納得されて終わり。

お客さんは新製品の機能には気に入っていたので新型はそのまま使うが…。

返品する旧型(高感度調整版)も買い取る!

「と言うか、乗るしかないこのウェーブに!」

と叫んでお店にすっ飛んで来て。(電話の後、直で行ったらしい。)

話が判らないお店の人に事情を話して。

返品交換の為に梱包してあった返金済みの旧型ラジヲ(高感度調整版)をその場でお金払って大事に持って帰ったそうだ。

ホクホク顔で…。(販売店からの話し。)

新旧二台もラジヲ並べたお客さんはデジタルノイズリダクション機能のある新製品と妙に受信感度の高いアナログ音声の旧製品を並べて…。


後で、営業担当の方からも”お店の人も、お客さん喜んでたよー。”で。

まあ。

よかったね。


で終わり。






落ちが無いが…。
















落ちは数年後のある日新聞紙面に出た。

”B湖FM局、事業無線免状に書かれた以上の電力で送信、電波法違反で事業者として初検挙!!”

新聞の紙面を見て思わず。

「あー。」

全部その時理解したよ。

法律って奴は迷惑が掛かるから必ず守ってほしい。





( ´・ω・` )…。(事業者が電波の出力弄るなよ…。)

(#◎皿◎´)嘘松…。

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