第10話 あたしをぶってほしい

夜、西の森に入った。

隣のアイゼン王国との国境の森——シュッツガルトの森だ。

魔物が出現するから、国境を監視する兵士はいない。天然の要塞だ。


「とりあえず、もう追っ手は来ないでしょう。少し休憩を」


俺と聖女様は、馬車を降りた。

鬱蒼とした森で、月の光をほとんど通さず、まるで帳の中に閉じ込められたようだった。


「はあ……うっ!」


突然、聖女様が倒れた。

俺は聖女様を抱き止める。

……まあ無理もない。婚約破棄を宣告されて以来、ずっと寝ないで恐怖と戦ってきたのだから。


俺は草の上に、ゆっくり聖女様の身体を寝かした。

白く透き通る肌がきれいだ。

おとぎ話にある、眠れる森のお姫様のようだった。


「アルフォンス……聖女様は大丈夫?」


サーシャが後ろから声をかけた。


「大丈夫だ。疲れているだけだろう」

「よかった……で、アルフォンスにお願いがあるんだけど」

「それなら森を出た後に——」

「嫌。どうしても今、してほしい」


サーシャは俺に、木の枝を差し出した。


「なんだこれ?」

「これで、あたしをぶって」

「え?」

「この枝で、たくさんぶってほしいの」


サーシャはメイド服のスカートを捲り上げて、下着を下ろした。

それから近くの木に手をついて、尻を突き出した。


「ねえ、早くぶって」

「何言ってんだよ。そんなことできない」


この木の枝は、釣り竿くらいの長さがある。

太くてよくしなる。こんなもので叩けば、身体に痕が残ってしまう。


「これがあたしのお願いなの。あたしは命がけで逃亡を助けたのよ?やってよ」

「俺はこういう趣味はない……」

「そんなの関係ない。それにアルフォンスだって、王太子殿下から聖女様を寝とって、しかもリーリエ様とも寝てたでしょ?あんたも変態よ」 


おっしゃる通りだ。

ぐぅの音も出ないぜ。


「……少しだけだぞ?」


サーシャにこういう趣味があったとはな……

幼馴染の俺も、全然気づかなかった。


ピシっ!


「うんっ……!」


俺は軽く、サーシャの尻めがけて枝を振った。

ほんのり赤く、枝の細長い痕が尻に浮かび上がる。


「もっと強く!パパみたいに!」


サーシャは叫んだ。


……パパか。

サーシャの父親は飲んだくれで、よくサーシャとおふくろさんを殴っていた。

子どもの頃、父親に枝でぶたれていたのかも。

それなら、この歪みきった性癖も納得できる。


——俺はサーシャの父親を殺した。

おふくろさんに頼まれて、森で魔物に襲われた体を装って殺した。

剣で心臓を一つ突き。

俺の初めての殺しだった。

おふくろさんは苦しめて殺してほしいと言っていたが、まだウブだった俺は、できなかった。


報酬として、俺はおふくろさんと寝た。サーシャの母親で童貞卒業。

まあ……その後、姉さんとも寝たのが。姉さんとは相性が良くて何度も寝た。


「……わかった。強く行くぞ」


俺は大きく枝を振りかぶった。


ビシっー!


「あっ!いっつ……!パパぁ、ごめんなさい!」



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【★あとがき】


モチベになりますので、


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竜族の姫様と強制結婚された件。異世界に召喚された俺は、交際0日で姫様と番(つがい)になりました。童貞なので心の準備が……

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俺は聖女様のセフレ騎士〜追放された聖女様に俺はどこまでも着いて行きます。もちろん夜のお供も♡聖女様は俺のものなので、国が滅びても知りませんから 水間ノボル🐳@書籍化決定! @saikyojoker

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