(四)-3(了)
現実には言ったとおり、大学受験がある。推薦を受けることのできる大学だって限られる。成績がダメならなおさらだ。
でも変わって欲しくないと思った。そうでなければ、彼が彼でなくなってしまう気がした。
彼の観察を始めてから、私の頭の中は彼で一杯だった。そんな彼に私はそんなことを言う資格なんてないとすら思っていた。だからそういったことを謝りたかった。でも同時に彼の未来を彼の将来を考えたら、彼には逃げていることにも取り組んでもらいたいとも思っていた。
どうしたら彼をよりよい方向に向けさせてあげられるんだろう。どうしたら彼の手助けができるのだろう。そう考え続けていた。
そうして私の思考は、いつの間にか彼のことで一色に染まってしまっていることに気づいた。
(了)
スケッチの課題 【い-14】文学フリマ京都_筑紫榛名 @HarunaTsukushi
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