(三)-3
「悔しい! 悔しいよ!」
そう言って嗚咽する彼の言葉は、このとき鋭く細長い針のようになって私の心に突き刺さった気がした。
彼のこんな態度、こんな姿、他のクラスメートの何人が知っているのだろうか。
彼は確かに常識外れな人間だ。でも彼は好きなことをしているだけなのではないか。それが確かに学校生活にはなじめていないだけで、その態度は単純に科学者のそれとそう違わないのではないか。科学者がどういう人なのか私は知らなかったが、そう思った。そういう意味では彼は実は真っ当な人間なのではなかろうか。
(続く)
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