忌まわしき記憶

入学時は赤の他人だった僕たちだが

同じクラスとなり互いにウマが合ったために入学後のオリエンテーリングで

すぐに打ち解け親密な仲となった


しかし、ディアスは僕の想像を超えた実に刺激的かつ魅力的な男だったのだ

最初の授業の終わりまでに最初歩魔法をなんとか行使することに皆が躍起になっている中で

僕の隣でディアスは鼻唄交じりに更なる上位魔法を行使してみせた

彼の才気は同期生の中でも明らかに抜きんでていたのだ

魔導書を読ませれば誰よりも早く内容を本質的に理解し、それを行使した

そればかりか如何に早く行使できるかを考え詠唱を短縮して捻出してみせたのだ

何度か暴発はしたが…そう、僕の隣で

高笑いしながら悪い悪いという彼に悪態をつきながらも

いたずら小僧のように笑う彼に僕は惹かれていった


そんな僕にも得意な分野があった

武器を用いての体術だ

僕の実家は鍛冶屋であり物心ついたときから色々な武具と共に成長したからね

今日こそ彼に一泡吹かせてやるんだと初めての模擬実践訓練へと足を向かせた


同期生の中でも僕の相手になる者は一人もいなかった

もちろん、ディアスを除いて…

二度三度手合わせをしたが彼の奇抜なトリッキーな動きについていけなかった

しかたなく特例措置的に、ディアスはそれ以後担当教員と手合わせする事になった

さすがの彼も教員には敵わなかった


だが、やがてその戦績が惨敗から常勝と変化するのに1年とかからなかった

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