忌まわしき記憶

「―――待ってよディアス!僕、もう、走れ、ないよ!」


「早くしろエディト!

ここで教師に捕まったらまた冷たい廊下で正座のまま説教だぞ!」


「本当に、ディアスには敵わないよ…」


いつも勝ち気で本能の欲するままに行動するディアス

そんなディアスに引っ張りまわされ

彼に辟易した態度を取りつつも、内心はそんな刺激的な毎日が心底面白くてたまらなかった僕

喧騒と優しさが共栄する少年のころの日々

あの頃の僕たちはそんな中を毎日無邪気に駆けずり回った


≪カジュルヌス魔導学院≫


少年少女を対象とした、心・技・体、遠近両用に対応する高度な戦闘能力を誇る人材育成を目標とした

極北の国ルナにおいて最も権威ある総合魔導学院

学院の生徒は卒業後、研磨した知識と魔力マナ・戦闘力によりルナ国の発展に従事する仕官として栄光の道が確約される


当然ながら入校の審査は厳しく

幼少の頃よりマナの扱いに長ける事は勿論、身体能力においても才気溢れる極少数の者しか入学を許されない

まさにエリートのための機関であり、領民ならば誰もが憧憬しょうけいし夢見る施設だ


そんな栄光あるカジュルヌス魔導学院へ

僕たちは13歳の頃、第78期生として入学した

まあ、僕は10歳から試験を受け続けやっと入学できたんだけど


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