シュガー!シュガー!シュガー!

オダハラ モミジ

シュガー!


あなた、もしかして巷で話題のスイーツ店をお探し?

それとも今から気軽に行けるカフェなどをお探しなら――


このsugar the road map略して【STM《スティム》】に聞いてみよう!


KAZAN社が手掛けるスイーツ専門の地図アプリ【STM】

最新鋭の衛星で、使用者の位置データを秒間約2000回も読み取り、

精密なロードマップをあなたのために生成します。


カフェ・スイーツ・甘味処などの掲載数は業界随一!

SNSをはじめ、ありとあらゆるビックデータをAIが処理し、最新スイーツや

期間限定の商品の情報を絶えず更新するので毎日利用しても、飽きることなし!


これぞ最強スイーツアプリ!【STM】!

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――――――――――――――――――


携帯端末が示す時刻は22:31、 何ともまぁお腹の空く夜だこと。

朝まで待つという事は出来ない、こればっかりは仕方がない。


私にとって、食事は楽しいものでなく生命活動に、次いで仕事するにあたり

面倒だとも思うこともあった。


いつからかこの体は、糖分しか代謝できなくなり。

もし塩分を取ったら手足が痺れ、油分を含むものなら強いめまいが出てしまう。

そして今、甘いもの以外食事が取れずにいて絶望していた時

【STM】と出会った。


以来、私の生活はこのアプリを中心に回り始める。


(近くの…カフェ…っと)

フリック入力を済ませたその瞬間、最短からはじまり最長2㎞先のカフェ全てが端末の地図上に現れた。


(最新のスイーツ…気になるものは特になし…限定物は…あった!)

(しかも深夜まで営業!…流石は【STM】!)


700mの所にこの時期限定のパフェがあるそうで。

さっそくナビゲーションを開始すると同時に骨伝導イヤホンを着ける。

耳をふさがないようにするのは仕事柄、音を重要視するためだ。


歩き出すと同時に、端末からプレイリストを再生する。

流れてくるアップテンポに歩幅を合わせながら、目指すは甘味処Suzu

そこは、和風テイストでありながらも洋・中、両方のスイーツを網羅する

言わば!、砂糖の城!(旧式の日本家屋らしく、瓦屋根のため)

音楽に身を預けて、しばらく歩いていると、ネオンに囲まれた街の中に静かに暖色の光を放つ家屋が見えた。


その時、

イヤホンから音が止み端末が震えた、確認して見ると…如何やら仕事のようだ。

ため息交じりに、メッセージと添付された写真を開くと、ある人物の略歴と写真、

そして5分前の位置情報が記されていた。


嫌なことに、ここからそう遠くないところにいるそうで。

内容については、処理の仕方は一任するとのこと。

文末の一文に多少救われたが、バツの悪さには変わりなかった。


少しの沈黙、僅かな静止、結論を出すには十分だった。

私は街の通りを外れ、足先を裏路地に向けると対象のいる幹線道路へ動き出した。



この街の暗さを嫌うかのように車たちは、真っ白なハイビームを晒しながら

颯爽と過ぎていく。

まぶしさで目を軽くすぼめると、歩道の先で建物から出てくる男が見えた。


気づかれぬよう慎重に後をつける。次第に暗がりの強い道へ入っていった。

機会はここしかないと思い、対象との距離を一気に縮める。

手と手が触れ合うほど接近したその時、拳をみぞおちに打ち込む。


相手はひっくり返り呼吸ができなくなっていた。

それもそうだろう、肋骨を避け直接内臓に衝撃を与えたのだから。男は訳が分からないと言わんばかりに目をキョロキョロと動かしていた。


最後に男の首に左手をのせ、第二・第三頸椎を意識して力を込める。

鈍い音と振動が伝わった時、絶命したのを確認をした。


これが私の仕事、あの日、糖分以外口にすることを禁じた時から

私は人の常識から外れた怪力を身につけた。

普通の食事もできず、普通の生活も送れないでいた頃、法外な仕事を請け負う

カンパニーという所に児童養護施設から引き取られた。

それから満足までいかないが、不自由のない生活を提供してくれる代わりに

私も仕事の一端を担うようになっていた。


指紋を拭き取り、着ていたMA‐1のポケットから送信専用の端末をつかみアンテナを伸ばす。古い無線機によく似たこの機械は私の位置情報を一方的に飛ばすもので、

カンパニーがそれを受信し、衛星越しに確認すると仕事が終わる。


もう一つの端末がまた震える、メッセージには

「確認した、至急現場から離れよ」


今度は考える前に足が動いていた。

もう一度、端末にナビを入れ、はやる気持ちを抑えながら甘味処Suzuへ向かう。


(早く終わってよかった~もうお腹もすいてきてイライラしてきちゃった)

(かといって仕事で憂さ晴らしするのはよくないよね)

感情に流されることなくしっかりとこなした自分をほめてあげた。


時刻を確認すると23:07の表示が目に付く、とその瞬間

通路の横から出てきた人にぶつかってしまった。

とっさのことで素早く動きそうになる体を抑えて、まずは謝罪した。


「すみません…」

とある違和感に気づいた。私は歩くとき周りには注意するほうだ。

意図せず力が入るこの体を持っていては、軽く肩が当たるだけで相手はケガをする

ほどだから。


しかし、目の前に立つ人物は目を合わせる事もなく立ち尽くしている。


夜、ただそれだけで冷える時だというのに、悪寒が背中にのぼる。

寒さが体を包む前に動いたのは相手のほうだった。手のひらが私の顔を目掛けて伸びてくる。


瞬時に手首を捻り上げ、そのまま壁に向かって投げ飛ばした。

壁の破片が視界いっぱいに広がる、死亡の判定をする前に私は逃げる。

ただぶつかっただけとはいえ、あそこまで動ける者とは会ったことはなく。

従って危険な状況と判断して、戦線離脱(エスケープ)した。



走った、ただひたすらに、無我夢中に、

もう街の堺目まであと少しのところで背後から私を追う気配を感じた。


「はぁ…はぁ、待って!止まって!――わかば!」

私の名前を呼ぶ声、思わず足が止まる。


「ちょっと…少し待ってて…はぁ」

息も絶え絶えな少女は、水筒をどこからか取り出し、飲み始める。


いつの間にか、進路をふさぐように、さっき壁に沈めたはずの男が3人に増え、

行く手を阻んでいた。


「あなた何者?、カンパニーの人なの?」

この場にいる全員の手元に注意しながら問いただす。


「ぷはぁ―…違うよ、でもカンパニーとは全くの他人という訳じゃないんだ」

水筒の蓋を閉め、口元をぬぐいながら答えた。


(カンパニーなわけないよね、こんな化け物がいたら私なんていらないだろうし)


「あと、なんで私を追うの?今回の依頼にあなた達が関わっているから?」

少し踏み込んだ話題を持ち出すのは、時間稼ぎのためだ。

相手が話し出すその前に振り切って見せる…。

出し惜しみなどせず今ある力を足に集中させる。


「ううん、そうじゃないの――あなたを、いや…お姉ちゃんを連れて帰るために来たんだよ」


口元を固く結ぶ緊張が解け、ただ愕然とその場に立っていた。

この子は、何を言って――刹那、私の顎を1人が打ち抜き、残りの2人が取り押さえるように私を抱えていた。


(まだだ!、まだ逃げられるはず!)

だがしかし最後に目にしたのは、飛び蹴りを披露する少女の靴底だった。



換気扇がガンガンとなっている。

次第に目が開き、無機質なコンクリート造りの部屋の中、私はいた。

骨の軋みがより一層、床に仰向けになった自分の意識を覚まさせる。


食事をここまで取らずにいるのは初めてだった。

そして、この体を巡る力を感じ取れないでいるのも久しぶりだ…。

だけど、一番必要とするときに限って普通に過ごせるようになるのは、どんなに皮肉なものだろうか?。


溜息すら、肺が痛むのであきらめていた時、扉が開く。

両手いっぱいに袋菓子を持った例の男が入ってきた。ゆっくりとした足取りで

近づいてくる。

――溢れんばかりのお菓子の山、そこから一つチョコレートが落ちてきた。


首を伸ばして、袋のままそれを口にし。

奥歯で封を噛み切り中身が出てきたとき一気に飲み込んだ。


男はまだ私に歩み寄ろうとしていた。だがそれ以上の行動を私は許さなかった。

腕を大きく伸ばし、まずは足に手をかけ転ばす。

顔から地面に突っ伏したところ、すかさず追撃を入れる。


拳を突き立て、ただひたすらに殴った。

すると辺りに立ち込める臭いが血ではないことに気付く。


力を少しづつ戻ってきた。

折れているだろう胸のあたりの骨を抱えながら立ち上がる。

最初のような間違いのないように今度は、深々と相手の顔を覗き込む。


しかし、床に散らばるは明らかに人のものではなかった。

血の海に代わって流れるのは油圧オイル、血管の代わりには銅線、

ロボットを思わさせる部品たちを見て酷く困惑した。


悩む時間はない!。

下半身に力を入れ扉を蹴破る、そこには廊下が左右に広がっていた。

私は迷うことなく、左に進んだ。


痛む胸を抑えながらしばらく走ると、手足がピリピリとしびれてきた。

一抹の不安を抱えながらもただひたすらに出口を求めて進んだ。


あの少女が気づけば通路の先に立っている。手に持っているのは拳銃なのか?

ポケットをまさぐる。

(何にもない…当然か、そりゃ武器の類は取り上げられるか)


ならば、この身捨てる覚悟で間合いに飛び込むしかない!

腕をおおきく振りかぶりながら、斜めに走り抜けた。

そのまま壁を蹴り上げ、一気に距離を詰める!。


だけど。

あと少し、ほんの少しでも飛べたら…。



何が悪かったのか、どこで選択を間違えたのか。

走り出す寸前、助走をもっとつけるべきだった?それとも部屋を出る前にお菓子を

もっと口にするべきだった?。


どんな後悔も偏に虚しく今、目の前に突き付けられているのは銃口だ。

(今度こそ動けそうに無いわ…、心からまた立ち上がるのを拒んでいる、

いえ、立たなくていいのよきっと、ここが終わりなのだから――)


「お姉ちゃん、早かったね。でもまだ寝ててもらうよ」


引き金を引く少女、妙に軽い音が鼻先で鳴る。

ピュー、ピュー。


(何?まだ死んで無いの?それとも――)

「ガハッ⁈――ガッ…あなた、何をしたの?」


銃口から飛び出たのは9m口径ではなく、顔に飛び散ったのは血じゃなく水だ。

「これはね、お姉ちゃんの弱点を詰め込んだ物。主にアセルファムKだったり

代謝のされない甘味料を溶かした水だよ。」

「つらいと思うけど我慢してね」


咳き込む私を軽く持ち上げると、抱えたまま歩き出した。

「そういえば、まだ名前を教えていないよね?、私の名前はミユウ!」


「ゲフッ…みゆう?」


「そうだよ!、私の名前は美海!お姉ちゃんの…わかばの妹だよ」


何を言っているのかサッパリ解らない。

そして、この自称妹の美海は私をどうしたいの?

考えようにもさっきの水鉄砲のせいで、頭が回らない。


ふと立ち止まる、美海と私は見知らぬ部屋にいた。

私を静かにベッドに降ろす。もうしゃべる気力がなく、ただ天井を見上げていた。

すると、背中がひとりでに起き上がった、目線が平行になり隣でイスに座る美海に

気づいた。手にはリモコンを握っている。


「ねぇ見てて――」妹の指した方向を見つめる。

コンクリートが左右に分かれた、その先には夜明けの光をゆらゆらと照らす。

広大な海が広がっていた。


「もう――朝なの?」


「うん、でも体調を整えるにはもう少し休まないと」


「私を…ボロボロにしたあなたがいう言葉?」


「う~んでも~それは…」


いつの間にか手に握らされていた端末が起動する。

紛れもない私の端末だ。


「わかば、君の妹はいささか口下手なんだ、代わりに僕が話そう」


(端末が喋った⁈なんで?そんな機能をインストールした覚えはないのに)


「STMだよ、いつもお姉ちゃんの傍にいた」


「何を…いって…」


「そう僕が、君たち姉妹を今まで見守ってきた。だけど今回ばかりは直接介入せざるを得ない事態が発生してしまい。美海を動かしてまで、わかばをここに連れてこなければ行けなかった」

「そのことについては申し訳ない、非があるのは僕自身だ。どうか妹に対しては大目に見て欲しい」


「ごめんなさい、でもお姉ちゃんの力がどれほどのものか資料を通してもよく

わかんなくて、それで――」


手を振って遮る、今は謝罪の言葉よりもっと聞きたいことがあるから。

「いやもういい…それより私の周りには何が起きたの?それを教えて」


美海はうつむいている。事の重大さを知らないのは私だけ?

端末は灯りを保ったまま反応がない。


「申し訳ない、すぐに話すべきだったね…簡潔に伝えると昨日、君が殺した相手は

僕たちの味方だ。君たち姉妹を支配する企業連盟から離反した彼は、その企みに気づいたカンパニーによって処理された。わかばを介してね」


「悪いけど、悲しい気持ちにはなれないわ。それに私に対して何を望んでいるの?」


「君に伝えるには、少し難解な話になる、それでもいいなら」

冷たい視線をSTMに浴びせる


チカチカと光が鳴る、そこから間をおいて話し始めた。

「まず、わかばと美海は本当の姉妹ではない。だが他人でもない君たちは人造人間バイオロイドなんだ、元々名前などなかったが番号で呼ばれた時、連なった数字が君たちに付いていた。姉妹という所以はここからきている」



気持ち悪い、痺れが、頭から足先まで重たい。

「それじゃあ私は何なの?…何のためここに?」


「お姉ちゃん!しっかり!――STM!どうするの?」


「投与を開始しよう、美海頼むよ」


ベッドの周りをせわしなく動き回る美海、気付けば医療機器などが、私をとり囲むように置かれていた。手首に意識を向けると点滴が刺さっている。


「わかば、気を楽にして、いま投与しているものが君をこの場にいさせる理由なんだ。その中には2人にとっての希望が入っている。もう少し辛抱してほしい」


次第にまぶたが重くなる、張った糸が元に戻るように力がぬけていく。

意識が限界に達したとき眠ってしまった。




「――でね―――――――分かった―」


「じゃあ―――――――記―するよ」


途切れ途切れの会話が聴こえる。まだ私はベッドにいた。


「覚醒状態に戻ったね、おはよう、わかば」


「すぐには、動かないでね…骨はまだくっついてはないし、それに」


「別にいいのよ、それで続きを話してSTM」

「あなたが何の為に動いているのか、まだ分からないの」


STMは私の手元から離れ、美海が握りしめていた。

「STMいいかな?」


「大丈夫だよ、君なら伝えられるはずさ」


「お姉ちゃん、私が説明するね」

頷いて返す、そこには安堵の表情が浮かべられていた。


「私たちは、KAZAN社に作られたの…なんでかっていうとね。

将来、人類が地上で活動出来なくなった時、インフラや旧来の住宅地や財産を

保護しないといけない。人に代わり機械達がそれを全うする為に、より適切なロボットを創り出した。それが私たち人造人間なの」


「お姉ちゃんなんかは、地上での活動を主に行うタイプで、私は海上での活動に長けたもの。人造人間は、低コストで動く事が重要視され始めた時に私たちは生まれた。」


「だからなの?私が砂糖以外食べれない理由は」


「そう、効率を考えたとき、糖分を唯一のエネルギーにした方がいいと、

結果が出たの。因みに私は海水を取り込んで、そこから水素を発生させることで

今まで生きてきた」


「海水?私より大変そうね」


「辛いとは何度も思った…、でもお姉ちゃんも同じでしょう?砂糖しか口にすることができないなんて。大変だったでしょ?」


まさか同じ苦痛を持つ者がいたなんて、でもあまり喜ばしいことじゃないな。

「そんな中でも、食事を楽しむことができたわ。STMのおかげでね」


「実は、私もSTMに助けられて今ここにいるの」

腕をさする、そこには私と一緒に点滴を受ける美海がいた。


管の先に何がついているのか、目で追って探すと栄養剤がつるされていた。

動揺が走る。針を抜こうと動いた私に、優しくだが強く手を握る妹がそこにいた。

「大丈夫!もう機械みたいに生きなくていいの!」頬に雫が垂れていた。


「突然ですまないが、ここからまた僕が説明するよ。美海、ありがとう」

大粒の涙を流しながら頷く美海、理解が追いつかないのは私だけらしい。


「わかば実は、君はもう砂糖に頼らずとも、生きられるようになった」

「美海も同じように、二人とも普通の人間になれたんだ」


「どうして?」

妹は、泣きはらしている。だが握る手だけは変わらず私の手を包み込んでいた。


「気絶する前、君が昨晩…いや、ロム博士という人が君たち姉妹の為、普通の生活が送れるよう開発したナノマシンを投与した。

ナノマシンには人造人間における、エネルギー変換機能を弱体化し

砂糖や海水などといった制約から、抜け出せる機能が半永久的に持続するよう作られている」


「従って今後、君たちは普通の人のように生きられるようになった。

点滴については、投与後における栄養失調を防止するために、つけさせてもらったよ」


頭の中はやけにスッキリしていた。

磯の香りが鼻に付いている。だけど痺れない、拳を握ると握力が落ちたのが目に見えて分かる。


「私…わた…し」震えるなんていつぶりだろうか、目いっぱいに涙が溜まることなんていつ以来?ただ溢れる気持ちが今、確かに戻った。


幼少期、カンパニーからの甘い誘いからついていった私、

砂糖漬けになってただ生きる意味を失い仕事を続けた私、

生きる意味も過ごしていく日々も楽しみでさえ甘いものだらけの私。


こんな砂糖シュガー砂糖シュガー砂糖シュガーで固めてできた人生が、今静かに溶けて消えた…。









「お姉ちゃん、それでもいいの?」


「美海と出会う前から、行きたかったもの、今は、どちらかと言うとたのしみだわ」


あの後、抱き合いながら涙を流しあった。

共に体内は健康そのものになり、STMからも許しを経て、ここSuzuにいる。


「朝方は普通の定食屋さんなんだって、これもSTMからある意味教えてもらった

情報なんだけどね」


「そんなでもいいの!だってお姉ちゃんも普通の食事は久しぶりでしょ?

私はどんなお店だってお姉ちゃんと一緒なら美味しく食べられるよ!」


「美海…――ありがとう、そうね一緒に楽しみましょう」


丁度いいところに、朝日が差し込む窓辺の席が二人分空いているので肩を並べて

座る。姉の後ろ姿を見ると土埃にまみれたジャケット着ていた。


(気まずいな~でも、絶対聞いてくるよね?)


「もう怒らないから、聞きたいんだけどなんで私を施設に送るためだけに

あんなにボコボコにしたの?」


(やっぱり聞いてきた~!)

「そ…それはね、力を出来る限り消耗しないとナノマシンが働いてくれないからで…

で…えっと…」


振袖姿のウェイトレスが現れる。決済方法を入力した後メニューを尋ねられた。

(助かった~。いやそうじゃない、何を頼むか考えてない~どうしよう~)


「それじゃあ――コレください」わかばが指差したものに美海が驚く。


「だったら私はあのポスターの商品を一つ!お願いします」


二人して示し合わせたかのように意外な物を頼んでいる、

ウェイトレスが卓から離れると、お互い向き合って微笑んだ。




会話もそこそこに、頼んだ食事が並べられる。

美海の前には、期間限定の栗きんとんパフェ。

わかばの前にサバの煮込み定食が出された。



二人して手を合わせる。

「「いただきます」」


「う~ん――甘いってこんな感じなんだね!お姉ちゃん!」


「なんだか複雑な味…おもしろ~い!、これが塩?!まるで海みたい!」



姉妹の日常はまだ始まったばかり。






「サバの味噌煮定食、おいし~~~~!!」



END






















































































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