第五話 冬乃とクリスマス

 今日は十二月二十四日。

 恋人たちのクリスマスイブが訪れる日だ。

 そんな大切な日に、俺はある深刻な問題に直面していた。


「おっす、安曇」

「彼方……」

「今日もさみぃなー。なあ、知ってるか? 午後には雪が降るんだってよ。そりゃ、さみぃわけだ」

「……知ってる」

「そういや、今日の体育の授業はサッカーなんだよな、男子は。女子は室内でバスケだろ? うらやましいぜ」

「……そうね」

「……何か元気なくねぇか? もしかして、体調でもわりぃのか?」

「……別に」

「と、ところで、季咲さんは元気にしてるか? もう一か月も会ってないから――」

「なんでアンタに姉さんのことを教えないといけないのよ?」

「わ、わりぃ……」

「……」

「……な、何かあったんなら言えよ? これでも一応お前の彼氏なんだ。相談くらいいくらでも乗るぞ?」

「あっそ」

「そ、そういえば、き、今日はクリスマスイブだろ? 学校が終わったら、二人で遊びに行こうぜ」

「アタシ今日用事あるから」

「……え? そ、そうなのか……。じゃあ、明日の休日とかは……?」

「ごめん、無理」

「そ、それは、どういうことだよ?」

「アタシ先に行くから」

「あ! お、おい、安曇!」


 安曇は白い髪をたなびかせながら、足早に去ってしまった。

 はぁ……今日もこんな感じか……。


 ……これが、冬の安曇。

 もとい、冬乃ふゆのか。

 

 正直、今までの安曇とは別人すぎて困っている。

 ついこの間まで普通に話せていたのが嘘みたいだ。

 突然あんな刺々しい態度を取られたせいなのか、なんだか胸が痛い。

  

 ……まあ、いいか。

 いつまでも悩んでても仕方ない。

 気分転換も兼ねて、明日は一人で街中に遊びに行くとしよう。

 それで少しは気持ちを切り替えられるといいんだけどなぁ……。

 俺はモヤモヤする気持ちを抑えて、学校へと向かった。






 

「あれ? 智輝くん?」

「……季咲さん?」


 クリスマス当日。

 予定どおり街へ繰り出すと、季咲さんと遭遇した。

 季咲さんとこんな道端でバッタリ会うなんて珍しいな。


「どうしたんすか? こんなところで」

「ちょうどこのあたりに用事があったの。今はその帰りなのよ。智輝くんは何してるの?」

「……散歩っすよ」

「え? クリスマスに一人で? 今日は冬乃と遊びに行くんじゃなかったの?」

「見てのとおりっすよ。じゃ、失礼します」

「ちょっ、ちょっと待ちなさいよ! 久しぶりに会えたのに、その態度は何? 何か冷たくない?」

「いつもどおりっすよ」

「絶対冷たい! そうだ、ちょっとあたしに付き合いなさいよ。どうせ暇なんでしょ?」

「暇なのは事実っすけど……」

「じゃあ、決まりね。さあ、行きましょうか?」

「え? ちょっ――」


 季咲さんは無理やり腕を組んでくる。

 そして、俺は強制的に季咲さんとデートをすることになってしまった。


 現在俺たちは映画館に来ている。

 ちなみに今は、上映中の映画の一覧を見ている最中だ。

 こんなところをクラスの連中に見られたら、絶対に面倒くさいことになるだろうなぁ……。

 まあ、でも、たまにはこういうのもいいか。

 せっかくだから楽しまないと損だよな。

 

「うーん……。どれを見るべきか迷っちゃうわね……。ねぇ、智輝くんはどんなジャンルが好きなの?」

「俺はアクションとかが好きっすね。あとSF系も結構いけます」

「そうなんだ。それじゃあ、恋愛ものはどう?」

「恋愛ものっすか……」

 

 そういえば、恋愛ものはまったく観たことがない。

 見聞を深めるためにも、観てみるか。

 もしかしたら、安曇との仲を修復するための糸口を掴めるかもしれないし。


「わかりました。それでいきましょう」

「やった。 実は前から気になってた作品があるのよ」


 というわけで、俺たちは恋愛ものの映画を観ることになった。


 数時間後。

 映画を観終えた俺たちは、喫茶店へとやってきた。

 店内に入ると、暖房が効いておりとても暖かい。

 席に着くなり、季咲さんはホットコーヒーを注文する。

 俺はもちろんホットミルクを頼んだ。

 しばらくすると店員さんがやってきて、それぞれの飲み物を置いていった。


「ふぅ……。結構面白かったわね。特に主人公がヒロインに告白するシーン!」

「そっすね。まさかあそこでああいう展開になるとは思いませんでした」


 普段あまり見ないジャンルの映画だったが、かなり楽しんでしまった自分がいた。

 しかしながら、安曇との仲を進展させるという当初の目的はまったく果たせていない。

 やっぱり、そう簡単にはいかないか……。

 

「ところで、今日はなんで誘ってくれたんすか?」

「それはもちろん、久しぶりに智輝くんとゆっくりお話がしたかったからよ」

「……何かあったんすか?」

「え? それはどういう意味?」

「いえ、なんとなくですけど……。何か悩みごとでもあるのかなって思って」

「ふふ……。やっぱり、あんたには隠しごとはできないわね……。実はそうなのよ。あたし、最近すごく悩んでいることがあるの。それは……」

「それは?」


 なんでそんなにためるんだよ?

 緊張するだろうが。 

 そして、季咲さんは真剣な顔つきで言い放つ。


「妹が反抗期に入ったの!」

「……はい?」


 思わず聞き返してしまった。

 だが、それを聞いて安心してしまった自分がいる。

 安曇のあの冷たい態度は、俺にだけじゃなかったんだな。


「ねえ、訊いてもいいかしら?」  

「何すか?」

「最近、冬乃とは上手くいってる?」

「……上手くいってたら、こんなところで季咲さんとお茶してるわけないっすよ」

「そ、そうよね、ごめん。でも、それを聴いてちょっと安心したわ」


 どうやら俺たちは、安曇のせいで悩まされていたようだ。

 でもまさか、季咲さんまで俺と同じだなんて思わなかった。

 今回ばかりは、どう対処していいかわからないな。

 

「安曇は家ではどんな感じなんすか?」

「こっちから話しかけてもそっぽ向かれちゃうのよね。返事があっても『そうね』、『別に』しか言わないし」

「大変っすね。俺もよくわかります」

「もう、ホント困ったものなのよ……。このままだと、姉妹の関係が崩壊しかねないわ。……去年はこんなにひどくはなかったのに」


 去年……?

 そういえば、安曇が過去にどんな生活をしていたかを、俺はまったく聞かされていない。

 俺は安曇の彼氏なんだ。

 そろそろ、そのあたりの事情も知っておかないといけないよな。


「季咲さん。安曇の過去を俺に教えてください。もしかしたら、過去に何かヒントがあるかもしれません」

「わかったわ。ここは二人で協力しましょう」

「ありがとうございます」

「まず最初に言っておくけど、この話は口外禁止よ。約束してくれる?」

「はい。もちろんっすよ」

「ありがとう。じゃあ、話すわね……」


 季咲さんはコーヒーカップに口をつける。

 そして、ゆっくりと語り始めた。


「あたしたちの両親は海外で仕事をしてたの。だから、あたしたちは親戚の家に預けられてたわ。両親も親戚も優しくて、あたしたちは何不自由なく普通の生活を送っていた。だけどね、不運なことに、突然両親が交通事故に遭って、そのまま帰らぬ人になってしまったの。そんなとき、四季子の魔法が発現したのよ」

「魔法が……?」

「初めはあたしも驚いたわ。だって、季節によって姿や性格が変わるなんて、普通ありえないじゃない? 親戚の人たちも最初は理解してくれていたの。でも、だいぶ我慢してたんでしょうね。二年後には、あたしと四季子は親戚の家から追い出されちゃったのよ」

「……それはひどいっすね」

「別に親戚の人たちのことを恨んだりしなかったわ。家賃や生活費、四季子が大人になるまでに必要なお金も、全部援助してもらってるしね」


 季咲さんは、笑みを浮かべながらコーヒーを飲みきった。

 そして、またコーヒーを注文する。


「それから、五年間、あたしと四季子はずっと一緒だった。もちろん、あたしも四季子に慣れるまでかなり苦労したわ。けどね、あたしはやっと本当の四季子を見ることができるようになったのよ」

「本当の安曇……?」


 そういえば、春にも似たようなことを言っていたような気がするな。

 というか、本当の安曇っていったい何なんだ?


「これまでいろんな四季子を見てきたでしょ? そのときは、髪色や瞳の色が変わっているように見えたんじゃない?」

「……はい」

「実はね、あたしにはずっと、黒髪で黒い瞳の四季子にしか見えてなかったのよ。まあ、性格が変わっていたのは間違いないんだけど」

「……え?」


 なぜ……。

 なぜ季咲さんはそのように見えていたんだ?


「理由はよくわからないけどね。けれども、今年の冬乃は違った。以前のように、白い髪で赤い目の姿にしか見えなくなったのよ。それに、性格も今までで一番きつくなったわ。こんなんじゃ、智輝くんにも嫌われちゃうわね」


 季咲さんは二杯目のコーヒーをすぐに飲みきった。

 肘をつきながらため息をつく。

 一方、俺も残ったホットミルク一気飲みしてから、マグカップを勢いよくテーブルに置いた。


「……季咲さん!」

「な、何? どうしたのよ?」

「……俺は安曇を嫌いになったりしませんよ」


 俺は季咲さんを真っ直ぐ見つめる。

 季咲さんは一瞬だけ驚いた顔をしたが、すぐに真面目な表情に変わった。


「あんた変わったわね。そんなにあの子のことが好きになったの?」

「ああ、そっすよ。俺は安曇のことが好き……です」

「……ありがとう。あたしの妹を好きになってくれて」

「理由とかは聞かないんすか?」

「よく言うじゃない。好きになるのに理由はいらないって」

「……はは、そっすね」


 ついに俺は初めて口に出してしまった。

 安曇への好意を。

 しかも、本人ではなく、季咲さんに。

 

「そういえば智輝くんはさ、付き合ってからあの子に直接『好き』って言ったことある? ……ごめん、変な質問だったわ。忘れて。恋人なんだから当然あるわ――」

「え? ないっすけど?」

「え、ないの!? キスはしようとしてたのに!?」

「安曇からはよく言われるっすけどね」

「……はぁ。あたし、わかっちゃった気がするわ。今回の原因」

「そ、そうなんすか!? 俺にも教えてくださいよ!」

「……はぁ。たぶん、あんたが直接あの子に『好き』って伝えてあげれば、すべてが丸く収まると思うわよ」

「は? 意味がわからないっすよ。それに、こ、こんな恥ずかしいこと、本人には言えないっす!」

「ふーん。じゃあ、あたしから伝えてもいいのかしら?」

「そ、それはやめろよ! それだけは絶対に――」

 

 俺は慌てて立ち上がる。

 すると、周囲の客から視線が集まっていることに気づいた。

 

「すんません……。大きな声出しちゃって……」


 俺はすぐに席に座り直す。

 それにしても、本当に意味がわからない。

 「好き」と伝えたところで何も変わらない気がするんだが……。


「ぷっくく……。ほんとに可愛いところあるわね、あんた」

 

 季咲さんは笑いを堪えきれずに吹き出していた。

 くそっ、何だかものすごい恥ずかしくなってきたぞ。

 

「とりあえず、もう出ましょうか? あたし、いい解決方法を思いついちゃったのよ」


 その後、俺たちはとある公園に来ていた。

 日はもうすっかり落ちていて、かなり冷え込んでいる。

 しかし、人通りはそこそこ多かった。


「それで? 季咲さんはどんな解決法を思いついたんすか?」

「ちょっと待ってて。もうすぐ来るはずだから」

「え? 誰が来るんすか?」

「彼方……姉さんと何してるの?」

「――なっ!?」


 なんと俺たちの前に安曇が現れたのだ。

 しかも、なぜか息を切らしている。

 

 偶然か? いや、違う。

 季咲さんが連絡したのか? 

 しかし、季咲さんはほとんど携帯にさわっていなかった。

 連絡する暇などなかったはずだ。


「あら、思ったより早かったわね。そんなに智輝くんが心配だったの?」

「別に……」

「じゃあ、なんでここに来たの?」

「そ、それは……」

「隠さなくていいわよ。本当はすごく気になってたんでしょ? もしかして、智輝くんをあたしに取られるとでも思った?」

「……思って……ない」


 俺には安曇姉妹のやり取りを、ただ見ていることしかできなかった。

 いったいどういうことなんだ?


「不思議そうな顔をしているわね、智輝くん。それじゃあ、今から説明してあげるわ。あのね、あたしと冬乃はアプリでお互いの位置情報を把握してるの。だから、冬乃はここに来られたのよ」


 位置情報共有アプリか……。

 名前だけは知っているな。

 だけど、それと俺に何の関係が……。


「智輝くんはやっぱり何も知らないみたいね。でもね、あたしは冬乃の秘密を知っているのよ」

「や、やめて、姉さん。それだけは、言わな――」

「冬乃はね、智輝くんの携帯に自分と同じ位置情報共有アプリをこっそり入れてたのよ。だから、冬乃にはあたしと智輝くんが一緒にいるってことがわかっていたの」

「ええ!?」


 俺はすぐに携帯を確認した。

 確かに入れた覚えのないアプリがある。

 どうやら俺はずっと監視されていたようだ。


「でも、待てよ? 俺と季咲さんが一緒にいるのは、別に何の問題もないはずだろ? なんで安曇は息を切らしてまで、ここに来たんだ?」

「あー、智輝くん。それを訊いちゃうんだ?」

「……ホテル街」

「え?」

「ここはホテル街のすぐ近くだから心配してたの!」


 安曇の言葉を聴いて、俺はすべてを理解した。

 そのせいで、徐々に恥ずかしくなってくる。


「ぷぷっ……! あたしが未成年に手をだすわけないじゃん! 冬乃ったらどれだけ心配性なのよ!」

「くっ……!」


 季咲さんは、大笑いして安曇をいじっている。

 安曇の方は顔を赤くしながら、歯を食いしばっていた。

 安曇のこんな顔を見るのは初めてだ。

 ギャップがあってかわいいじゃないか。


「……アタシ帰るっ!」


 安曇はきびすを返して、この場から離れようとする。

 しかし、季咲さんは安曇の腕を掴み、動きを止めた。


「離してよ、姉さん!」

「ダメよ。これから冬乃には、智輝くんと一緒にクリスマスらしいことをしてもらうからね」

「え?」

「な、何をさせるつもりなの!?」

「それは、秘密でーす。じゃ、行こっか、二人とも」

 





 

 季咲さんに連れてこられた場所は夜の遊園地だった。

 そして、現在俺と安曇は向かい合った状態で、観覧車に乗っている。

 しかも、二人っきりで……。

 

「……どうしてこうなったんだよ」

「……それはこっちのセリフよ」


 いや、本当になぜなんだ……。

 俺たちは今、喧嘩中のようなものなんだぞ。

 いったい、季咲さんは何を考えているんだ。


「はぁ……ほんとに最悪……」

「おい、その言い方はないんじゃないか?」

「だってそうじゃない! よりにもよってアンタなんかと二人っきりなんて! 吐き気がするわ!」

「お、お前なぁ……」


 いくらなんでも言いすぎじゃねえか?

 そこまで言われる筋合いはないはないだろ。


「ほんとに最悪。アンタといると、胸がドキドキしすぎて苦しいの。緊張で今にも吐きそう」

「……え?」

「何でかな? アンタが姉さんと仲良くしていると、すごく嫌な気持ちになるの。……それに、最近アンタの夢ばかり見るのよ」

「そ、それって――」


 安曇がどんどん俺に近づいてくる。

 しかし、俺は緊張してしまい動けない。

 そして、安曇は向かい合った状態で俺の膝に乗ってきた。

 

「もしかして、アタシ、病気なのかしら? それとも、頭がおかしくなったのかな?」

「お、おい、ちょっと近くないか?」

「もうよくわからないのよ。自分で自分が理解できない。だけど、これだけはわかるわ。アタシは、智輝のことが好き……」

「――っ!?」


 安曇は俺に抱きついてきた。

 俺は抵抗できずに固まってしまう。

 

「ねぇ? 答えてくれない? 智輝はアタシのこと嫌い?」

「そ、そんなわけがねぇよ」

「じゃあ、好き?」

「そ、それは――」


 安曇に問いただされ、俺は思わず言葉を呑み込んでしまう。

 ちくしょう、本当は好きだと言いたい。

 だけど、恥ずかしくて、どうしても言うことができないのだ。


「……ふ、ふーん。ま、まあいいわ。い、今は許してあげる」

「……え?」

「で、でもね、い、いつか必ず言わせるから。か、覚悟して……なさい……よ……ね……」


 安曇は震えながら涙を流していた。

 いかにも余裕そうに言葉を紡ごうとするが、嗚咽で上手く喋れていない。

 そのうえ、あふれ出た涙がぽたぽたと俺の顔に落ちてくる。


 ああ、そうか……。

 俺が安曇を泣かせてしまったのか……。

 全部俺が悪かったんだ……。


 すべてを知った今、季咲さんの言葉が俺の心に突き刺さる。

 ここで勇気を出さなければ、男じゃない。

 ……だったら、することは一つしかないよな。


「ご、ごめんね、彼方……。今離れるから――」

「好きだ、冬乃」

「……え?」


 俺は離れようとする冬乃を思い切り抱きしめた。

 そして、冬乃の耳元でささやくように告白する。

 

「今まで好きだと言えなくてごめん。今日やっと冬乃の気持ちに気づいたんだ。だから、何度でも言わせてくれ。俺はお前のことが大好きだ」

「う、嘘よ。だって、アンタは……姉さんが好きなんでしょ?」

「はぁ!?  なんでだよ!」

「だって、いつも姉さんと一緒にいて……。姉さんは美人だしスタイルもいいし……。それに、姉さんと話すときは楽しそうだし……」

 

 どうやら安曇は勘違いしているようだ。

 まったく、仕方のないやつだな……。

 

「あのな、冬乃。俺が季咲さんといるときは、いつもお前の話をしてるんだ。今日だって、俺と季咲さんはお前のことで散々悩んでたんだぞ?」

「そ、そうなの……? な、なんか、ご、ごめんね」

「謝る必要はないよ。それより、早く返事を聞かせてほしい」

「うん、わかった。じゃあ、もう一度言うね。アタシも智輝のことが好きです。大好きです!」

 

 こうして俺たちは、お互いの愛を確かめ合った。

 しかしながら、本当に季咲さんの言うとおりになったな。

 今回の件はしっかりと反省して、次に活かせるようにこれからも頑張っていこう。

 

「見て見て、智輝! 景色がすごい綺麗だよ!」

「どれどれ? おっ、ほんとだ! すげぇ綺麗だなー!」


 観覧車からは、クリスマスカラーに染まった鮮やかなイルミネーションが一望できる。

 それはまるで、俺たちのことを祝福してくれているようであった。

 この瞬間こそが、きっと最高の幸せというものなのだろう。

 俺は心の底からそう思ったのだった。

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