第15話 戻る

 7人は、恐る恐る元の場所へ戻り始めた。幸い、持って来た毛布の色とここの壁の色が似たようなグレーで、灯りの側へ行かなければ、何とか毛布に隠れられると思われた。

 毛布は二人で1枚を使い、移動した。獣人達は何か集会でもしているのか、あの開けた場所以外の所には、ほとんどいなかった。闇雲に逃げてきたので、元の場所に戻るのも一苦労だった。

「こっちから来たっけ?」

「いや、こっちでしょ。」

お互いにそんな事を言いながら進んで行くと、例の開けた場所にたどり着いた。

 獣人達は大声を上げ、

「ウォー!ウォ、ウォ、ウォー!」

などと、声を合わせていた。

「あれで会話になってるのかあ。」

アイルが呟いた。

「怖い。」

シルクの体が震える。その肩を、メタルがぐっと抱きしめた。

「大丈夫だ、俺が守る。」

「メタルさん・・・。」

みんなで壁際をそろそろと進む。獣人達には気づかれず、何とか後ろを通ったが、あのオオトカゲは相変わらず、トンネルの入り口にへばりついていた。

「あいつ、あそこが好きなんだな。」

ロックが言った。

「でも、どいてもらわないとな。」

ロックはそう言うと、リュックからランプを取り出した。火を付ける。

「え、見つかっちゃうよ。」

レインがそれを見て言ったが、

「トカゲは火が苦手みたいだったでしょ。だから、これで追い払いましょう。ただ、あの獣たちも気づいて追いかけてくるでしょうね。」

ロックが小声で言うと、6人は顔を引きつらせた。

「分かった、よしやれ。トカゲを追い立てて、それをこっちが追いかけて、そのまま外へ出ようじゃないか。」

メタルが言った。

 と言う事で、さっきぼろぼろにされた3人の服を鉄の棒にくくりつけ、それに火を付けた。それを、ロックが手に持って進み、トカゲの方へ向かう。毛布はもうリュックにしまった。これからは、見つかってもとにかく逃げるのだ。

 ロックが火を持ってトカゲに近づくと、トカゲは驚いて後ずさりをした。7人はジリジリと進む。だが、

「ウォッ?ウォー!」

と、一人の獣人がこちらに気づき、何かを叫んだ。

「やばい!見つかったよ!」

アイルが言ったので、ロックは火をトカゲの体に付けた。ジュッと音がして、キーともキューとも取れる変な音を出したトカゲは、驚いて飛び退いた。それでも、ロックが更に火を近づけたので、トカゲは窮屈な場所で器用にきびすを返し、逃げ出した。

 7人はそのトカゲの後ろを走る。獣人達が追いかけてくる。

「わー、速く速く!」

アイルが叫ぶ。追いつかれそうになった時、ハイドは一番後ろへ行って、

「とりゃー!」

と、跳び蹴りをした。先頭で走ってきた獣人を倒し、その横を走ってきた獣人にもパンチを食らわせ、倒した。倒れた獣人達に手間取っている後続の獣人達。それを見届けて、ハイドはまた走った。

「ハイド、流石!」

ダイヤが言った。だが、またすぐに追いつかれそうになる。

「もうヤダー!どうしたらいいのー?」

シルクが叫んだ時、ズドーンと鉄砲の破裂音が聞こえた。

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