第13話 救出
ロックが運転するトラクターに乗って、4人は丘へ向かった。途中、軍のトラックとすれ違った。
丘の向こう側へたどり着き、トラクターを降りた。なるほど、一面に掘り起こした跡がある。ラブフラワーを根こそぎ持って行ったのだろう。
「あーあ、だから人間は地球を滅ぼしたんだよなあ。」
メタルがそれを見て言った。
「限度を知らないんだよ、限度を。」
更に、そう付け加えた。
「あ、あそこに裂け目がありますよ!」
ハイドが少し先の地面を指さして言った。
「本当だ!もしかして、レインさんたちはここに落ちたとか?」
ロックがそう言いながら裂け目の方へ走っていった。他の3人も追いかける。
「飛び降りても問題なさそうだな。」
覗き込んで、アイルが言った。4人は次々に飛び降りた。
「うーん、どっちへ行ったんだろう。」
ロックが腕組みをして、考える。すると、何やら物音が聞こえた。
「あ、何か聞こえたぞ!」
「聞こえました!」
メタルとハイドが言った。
「よし、あっちだ!」
4人は一斉に走り出した。物音は、ワーワーという声や、何か金属同士をたたき合わせたような音だった。
そして、トンネルに潜ると、そこには巨大なトカゲのしっぽが見えた。
「ひっ!」
先頭を走っていたアイルが声を押し殺して叫び、急ブレーキを掛けた。口に両手を当てて、叫び声を出さないようにしている。
「なんだよ、これ?!」
声を潜めてアイルが言う。
「トカゲ、かな。まさか恐竜?」
メタルが言う。
「とにかく、この先にダイヤさんたちがいるに違いないんです。こんなの、放って置いて進みましょう。」
ハイドがそう言った。
「よし、脇をすり抜けよう。」
ロックがそう言って、自ら前へ進み始めた。
「うそだろー。俺ヤダよぉ。」
アイルはそうぼやいたが、ここに独りで残されるのも嫌なので、仕方なくみんなの後ろから付いていった。
トカゲは前を見ていたので、後ろから来るロックたちにはなかなか気づかなかった。だが、流石に顔の横に来たときには気がついた。けれども、それと同時にロックは見てしまったのだ。大勢の二足歩行の動物たちと、その彼らの前の少し高い段の上にいる、縛られたレインたち3人を。
「嫌だー、やめてー!」
「助けて、ハイドー!」
「イヤ、助けてロッキー!」
鉄の棒で胸の突起をいじられている3人。それを見てしまったロック、そして次に顔を出したハイドは、血が逆流したかと思うほど、血圧が上昇し、顔がカーッと熱くなり、とにかく何も考えられず、前へ突進した。
トカゲはしっぽで攻撃し始めた。後ろにいたメタルとアイルはそのしっぽにしたたか殴られ、その場に倒れた。だが、ロックとハイドはしっぽが来るよりも先に走り出した。ただ、二足歩行生物たちが立ちはだかる。くせ者を捕まえようと、鉄の棒を振りかざして来る。ロックが鉄の棒をかわした時、ハイドは前へ出た。
「ハイヤー!トゥ!」
ハイドは敵のボディへパンチを食らわし、棒にはキックで対応し、とにかく突進を止めなかった。棒を奪ったロックは、その後ろから棒を振り回して走った。
レイン達が乗っている舞台に飛び乗った二人。ロックは鉄の棒で、ハイドは素手と蹴りでこの舞台上にいる二足歩行動物たちと闘った。
「ロッキー!」
「ハイド!」
レインとダイヤが叫んだ。そして、一時的に戦いを征したロックが、レインの前にシュタッと跪き、レインを見上げた。
「ロッキー。」
「レインさん!」
ロックとハイドは3人が縛れていた紐をほどいた。だが、敵はまだまだいるのだ。舞台の下には何千という敵が。
「おーい!こっちだ!」
見れば、アイルが敵の向こう側から手を振っている。そして、その後ろでメタルが火を付けた。
バチバチバチ!!
いつの間にか、舞台からトンネルの入り口まで導線が引かれ、爆竹が炸裂した。敵は恐れおののいてその導線から離れた。
「今だ!」
メタルが叫ぶ。舞台上にいた面々は、ハッとして顔を見合わせ、舞台から飛び降りた。そして、導線に沿ってアイルとメタルの所まで走った。
みんなでトンネルの中へ入る。しかし、元来たトンネルとは違うトンネルだった。なぜなら、あのトンネルにはトカゲがいるから。トカゲは火に驚いて近寄ってこない。だが、二足歩行動物は爆竹の爆発が収まると、ちょっとずつ近づいてきて、もう爆発しないと分かると、追いかけてきた。7人は走って逃げた。
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