第4話

「それじゃ、出発前にあっちの世界の説明をしとくわね。

 まず、全体としてはみんな大好き 剣と魔法の世界、地上には魔獣、他様々な生き物が闊歩し、空にはドラゴンが飛翔、海では海産物が大豊漁。

 現地の人は過去に恒星間移民船で別な星を目指す途中の事故で 位置不明の星に流れ着いて入植した民の末裔。

 あんまりにも昔過ぎて、その頃ことは神話にしか残ってない感じ?

 入植した当初は科学で暮らしていこうとしてたみたいだけど、あの惑星にあったマナ(命名・現地人)を使った魔法が便利すぎて化学が衰退しちゃったの。

 基礎知識としてはこんな感じかしら?

 あんまり詳しく知っちゃうと現地暮らしを楽しめないし説明する時間がどれだけあってもたりないものね。」

「あまてらす様、大丈夫なのです。

 私がついています。」

「そうね、ヘレナちゃんとなら、大丈夫ね。

 気を付けて行ってらっしゃい。」


 別れの挨拶をして、どうやって現地まで移動するのか聞こうとすると、


「それじゃ門を開くわよ!鏡さんも気を付けて、あちらの世界を楽しんでね!」


 足元に回転する魔法陣が現れ、上へスライドしてくると、体が消えていく。

「いってらっしゃーい!」

 アマテラス様が手をふりヘレナちゃんも手を振り返す。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 目の前が白くなり、周りの景色が変わる。

 おー、緑豊かで青い空。

 どこの森の中だ?


『ここは、大陸中央、ミナス大樹海のやや端よりの地です。』

「ん?誰??どこにいる?」

『はじめまして、私はアマテラス様よりお二人のサポートを仰せつかりましたオモイカネです。

 分霊した現地活動用の中継体のため実体はありません』

「オモイカネ様って男神じゃないの?女性の声?」

『私に性別はありませんが、話し辛ければ知的で可愛い女性メイドを思い浮かべて頂ければ幸いです。』

そうですか。


そりゃそうと、ヘレナちゃん どこ行った?

周囲を見回すと、近くの川べりにしゃがんで流れをのぞき込んでいた。

「お兄ちゃん!お魚さんがいっぱいです!」

覗き込むと渓流特有の虹色に光るジンクリアな水が勢いよく流れ、岩にぶつかり飛沫を上げている。

視線を移し少し流れの緩くなったプールを見れば、魚らしい黒い影が人を恐れることもなく群れをなしていた。

今日の晩御飯は魚の塩焼きにするか。

とはいえ釣り具でもないと、、、


その瞬間、頭の中に次元収納の中に入っている釣り具のサムネイル付き一覧が展開された。

視界に入ってる訳ではないのに一覧がわかる。

仕事の段取り中に必要な在庫品を思い浮かべている感じか?

その中から延べ竿と渓流釣りに必要な道具を選ぶと、目の前に選んだ道具が現れた。


「お兄ちゃん!お魚釣りするの!?」

「そうだね、食べれる魚なら今晩のご飯にしようかと。

それと もうお昼も過ぎてるみたいだし、場所も開けててちょうどいいから今日はここでキャンプしようかと思ってる。」

「ふおぉぉ!焼き魚キャンプ!頑張ってお兄ちゃん!」

「それじゃヘレナちゃん とりあえず少し離れて観ててね

オモイカネ様、監督お願いできる?」

『了解です。

それと様は不要です。』

「神様の名前を呼び捨てはし辛いですよ。」

『では呼びやすい愛称を付けて下さい。』

「ミギー、『却下です。』ハル9、『ダメです。』エキセドル、『イヤです。』ブレイ、、『メイドに付ける名前ではないですね』」


どうすりゃいいの。

「うーん、、、知恵の神ー叡知ー、、、んー ソフィアでどう?

たしかギリシャ語で叡知。」

『了承します。』

「よかった。」

「ヘレナさま、今から私の名はソフィアです。

宜しくお願いします。」

「わかりましたー。

おもいかね様はソフィアさんなんですね。

宜しくお願いします。


ではでは私のことも ヘレナでいいのです。」

元気よく手をあげて答えるヘレナに

「じゃ、僕のことは「お兄ちゃん」「メイドですのであるじで」」

そうですか。



―――――――――――――

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