第62話

※以下、過激な描写が含まれている可能性があります。予めご了承の上でお読みください。


 ピクニックから帰ってきて、琉希は始終私にべったりしていた。キッチンに立つと、「自分もやるー」というので、手伝いを任せた。


「ねぇ、もっといちゃいちゃしたいなー」

 ベッドの隣で、琉希は言う。

「抱き合ってるし、キスもたくさんしたと思うけど」

 そうなのだ。今日はいつもの倍以上キスをせがまれた。琉希はどうやら甘えたいモードらしい。

「そうなんだけどさ。僕たち、キスとハグしかしてないよね?」

 寝てる(フリをしている)間、琉希は私の身体に触れてくるけど、私はそれに気づかないフリをしている。

「まあ、そうだけど……」

「誕生日までに、もう少し次のステップに進んでもいいと思うんだよね」

 次のステップか……。何なんだろう。

「例えば?」

「杏子の素肌に直接触れるとか」

 かなり直球で来たな。

「でも、見られるのは恥ずかしいって……」

「見られるのが恥ずかしいなら、杏子が慣れるまで、見なきゃいいんでしょ?」

 正論が返ってきた。

「それに、続けてたら、いつか見てほしいって気持ちになるかもよ?」

 今でも見てほしい気持ちがないわけではない。でも、どうしても恥ずかしさの方が勝ってしまうのだ。

「試しに今日やってみようよ。僕あっち向いてるから、杏子、上の下着脱いでからパジャマ着て?」

「え、それはちょっと……」

「お願い?」

「……わかった」

 どうやら、私は琉希の「お願い」に相当弱いようだ。幸か不幸か、上半身の脱毛は終わっている。「絶対見ちゃダメだからね」と念押しし、琉希の反対側を向くと、私は上半身の下着を脱いで上にパジャマを羽織った。パジャマが上半身の色んなところを掠めて、違和感がある。

「できたよ」

 私がそう言うと、琉希は突然抱きついてきた。

「待ってたよ、杏子」

 琉希はそう言って、私を抱きしめる力を強くする。

「杏子、やっぱり柔らかいね。すごく心地いい」

「そりゃどうも」

 琉希は私に数回キスをした後、私を横たわらせ、パジャマのボタンを開けた。

「こらっ、見ないって……」

「見ないよ。でも、こうしなきゃ、直接触れないでしょ?」

 琉希はパジャマの隙間から手を入れ、胸に触れてきた。

「ひゃっ」

 琉希の手、温かい。その温かい手が私の胸を優しく包んで、軽く揺さぶる。

「杏子は右と左、どっちがいいのかな?」

 そんなことを言いながら、右にも触れてきた。こっちはあまり触れられたことないから、新鮮かも。

「僕、杏子が寝てる時も右はあんまり触ったことないんだよね」

「あっ……なんか、すごく不思議な感じする」

「直接触れられるの、癖になりそう?」

 琉希がニコニコして恥ずかしいことを訊ねてくる。

「そう、かも」

 頭の中がぼんやりして、あまり働かない。気づいたら、そう口にしていた。

「じゃあ、杏子がもっと癖になるようにするからね」

 そう言って、琉希は私の胸の先端をきゅっと摘んだ。

「あ、ああっ」

 痛く感じてもおかしくないはずなのに、すごく気持ちいい。声も出てしまって、慌てて口を両手で塞ぐ。

「口、塞がないで。もっと声、聞かせてよ」

「恥ずかしいよ」

「そのうち慣れるよ」

 琉希は私の口から私の両手を外して、そう言った。

「夫婦水入らずなんだから。ね?」

 そう言って、今度は右胸の先端を摘んだ。

「ああっ、はあっ」

「ねぇ、杏子、右と左、どっちの方が気持ちいいの?」

 琉希は小首を傾げて私の目を見つめた。押し寄せる快感で、目に涙が溜まる。

「そんなの、わかんない。んっ」

「じゃあ、両方触るからね」

 その夜、琉希は深夜くらいまで私の両胸を何度も揉んだり、摘んだりした。

「杏子、すごく可愛かったよ。これからは毎回するからね」

 終わった後、琉希は私を抱きしめながら、幸せそうにそう告げた。

 毎回か……。気持ちよくて、でも恥ずかしくて、拷問みたいだな。


 

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