第12話

「で、本題は何だ?」

 2人居酒屋でたわいもない話をしていたところ、夏紀は唐突に切り出した。本当容赦ないのは学生時代と変わらない。

「……」

「まあ、俺を呼び出すってことは杏子のことで悩みでもあるんだろ」

 なんて説明すればいいのかわからず沈黙していると、夏紀がその空気を打ち破った。しかも図星だ。僕ってそんなにわかりやすいのかな。

「どうして、わかったの?」

 声が震えないように気をつけながら、尋ねる。よかった、杏子に会う前に相談していて。杏子にこんなふうに心を見透かされていたら、僕は消えてしまいたい。杏子にだけは、嫌われたくないんだ。カッコ悪いところなんて、見せたくない。まあ、この間の風邪でやらかしたけど。

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