第9話

 琉希はどんなつもりで、ずっと一緒にいてくれる? なんて聞いてきたんだろう。そして、ずっと私と一緒にいて欲しいとはどういう意味で捉えたらいいんだろう。365日24時間ずっと一緒にいるなんてどう考えても不可能だ。

 ということは、プロポーズされた? まさか、ね……。自意識過剰な推測に溜息を吐く。

 突然すぎてびっくりした。それで、つい本音を言ってしまった。もうこの歳になると当たり前だし、共依存カップルになんて絶対になりたくないから、正論と言えば正論だ。でも、琉希の気持ちは? 少しでも考えてあげられた? できなかったよね? 傷つけてしまったよね?何度も自問自答を繰り返す。

 しかも、その日さっさと帰ったきり、琉希の心のケアもできていない。というか、電話さえできていない。これって本当の恋人って言えるの? 私達は幼馴染だけど、ちゃんと恋人になれたの? 幼馴染で何でも分かり合えているという錯覚に甘えていなかった? 琉希は私のわがままに付き合ってくれるだろうなんて、傲慢な考えに浸っていなかった? でも、今更どうすればいいんだろう。このまま別れてしまうのかな。元彼たちの新しい彼女のように、可愛くて気立のいい女の子の方が琉希には合うんじゃないかな。考えれば考えるほど、自信がなくなっていく。

 私は琉希のことが好きなのかな。それとも、ただその優しさに甘えているだけなのかな。

 ぐちゃぐちゃな気持ちのまま、琉音とお茶をする日の朝を迎えた。

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