第4話
「熱出しちゃった。ふらついて上手く歩けないから、仕事帰りに買い物お願い。忙しいのにごめんねm(._.)m
・冷えるピタってするシート
・スポーツドリンク
・レトルトのお粥」
昼休みに琉希から届いたメールを見て、私は速攻で上司に早退する旨を伝えた。彼氏と言うのはなんだか気まずかったので、一人暮らしの幼馴染が熱を出したのでと伝えて。
「幼馴染って言ってたけど、あの反応は絶対彼氏よね。いや、彼氏通り越してもはや新婚ほやほやの旦那さんじゃない?」という周りの噂話はにこにこしながら受け流して。
スーパーで頼まれていたものを一通りと風邪の時に必要そうな物も念のため買った後、琉希のアパートに向かう。チャイムを鳴らすと、ふらふらで心なしか呼吸も乱れてる状態の琉希が出迎えてくれた。
「あん、ず、ありがとっ。あれ? かい、しゃは?」
そこまで言うと、琉希がふらっと倒れそうになる。間一髪、倒れる前に体で受け止めた後、腕を背中に回し、支えながらベッドまで歩く。回された腕がひどく熱い。相当熱が籠っているのだろう。
「早退したよ。辛い時は無理して喋らなくていいから」
「ごめ、ん……」
琉希は申し訳なさそうにうなだれる。
ベッドに辿り着いて、そっと琉希を寝かせる。
「熱はどれくらいなの?」
「はちど、にぶ」
「ご飯は食べた?」
「まだ、食べてない」
「わかった、作るわ。お腹の調子は大丈夫そう?」
「うん、大丈夫、みたい。ありがと」
そう言って、琉希はふわりと弱々しく微笑む。いつもと違って覇気のない笑顔に胸が痛くなる。
「無理して笑わなくてもいいから。寝てていいからね」
「うん」
琉希は安心したように頷くと目を閉じた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます