嘘の愛
「おう」
「ごめん、待たせたね」
「クヒヒ、ここでは待ってないよ、とでも答えるべきなのか?」
飄々と笑っている死神君を睨む。デートの筈なのに、なんとも言えない始まり方には少しイラつく。
夢見たデートなんだから、少しぐらい期待してもいいと思う。期待してもいいと思う!
「さてさて、デートに誘ったのは私だし、エスコートは期待してもいいぞ」
「死神なのにエスコートなんて出来るのかしら?」
「クハハ、君よりは精通しているとは自負している。なんせ、リアルを見てきたからな、ゲームではなく」
ぐぅ、言い返せない。少し嫌味を言ったら予定外のダメージが返された。
「ではウィンドウショッピングといこうではないか」
「何でよりによってウィンドウショッピングなのよ...」
「せっかく視力があるんだ、見れるときに見なければ損だろう?」
「...わかったわよ」
憎まれ口になる。やっぱり今も恨んでいるところはある。
その心情を気が付いていたとしても死神君は関係なくエスコートをしてくれる。自然と手をつないでいるのも、狩れなりの配慮かもしれない。
というかいつ手繋いだのよ?!びっくりしたじゃない!
「なんだ、手をつないでおかないと迷子になるだろう?それともつなぐのは恥ずかしいのか?」
「っ!別に構わないけど?死神君こそ普通の人間みたいに手をつないでウィンドウショッピングなんかして恥ずかしくないんですか~?」
「クヒヒ、私は案外楽しいぞ。人間のやる事はやはり面白い。よこにいるやかましいデート相手も可愛く見えるぞ」
本当にこの死神君は!
どうしてこうキザな台詞を言えるの?!恥ずかしくないの?!死神でしょ?!恋愛神でもキューピッドでもないんだから!
本当にやきもきするっ!
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