屋上の...告白?

「死ぬ意味がないって、私に生きている意味もないのよ?」


へらへらと笑っている死神を睨みつける。




彼は今までとは違う、この世ではない笑みを浮かべる。




実感する。


かれは、ニンゲンじゃない。


その悍ましい口は開き、晴天をかき消す地獄の底からの囁きが響き渡る。


「なら死ぬ意味も、生きる意味もない君は、どこに存在しているんだい」


「っ...私に、生きたい理由が―」


「死にたくない理由も、死にたい理由もない癖に、生きたいなんて嘘をほざくな」


「私にはっ!」



私には、何があるというの。


私に、何が出来たというの。


頭はいい。察しもいい。空気も読める。成績も優秀。目が見えない、というハンデがない今、優秀さの方が目立つ。


でも、結局空っぽ。


「こんな事なら、目が見えない方が――」


ハッとなる。気が付いてしまった。わかってしまった。


「クヒヒ、そういう事だ、自称ショームズ君」


本当にこの死神は趣味が悪い。


「“当たり前”の事を与えられ、それを祝福と捉えるのか、呪いと捉えるのか。実に有意義な実験だったよ」


「だったら!こんなの、私望んでもいなかったし、欲しいとは思わなかった!」


「諦めていたの違いだろう?」


「そうよ!治る事もない、そう受け止めていたのに、奇跡だと持ち上げられて、重荷にしかならなかったのよ!」


「そう、重いんだよ。古代エジプトでは冥界で心臓を羽に対して図るみたいだしな。生きる事は重いんだ」


「だったら!」


「しかし、見てみろ。君がフラグを立てたカップル共を」


見たくない、もう、見たくない。私だけガラスの笑顔を貼り付け、私だけが祝福をする側にずっと立たされている、見ている側から。



校庭に委員長と双子の姉の方はこちらに気が付いたらしく、手を振っている。朗らかな笑顔でイチャイチャしながら曇りのない笑顔を。


手を振り返すけど、中身は空っぽで、腕は鉛の様に重い。


「確かに生きる事は重い、そしてそれだけ死ぬ時にその重さを図る事が出来る。君は死ぬ時、ただ病院で生きるだけの人生で良かったのか?」


「世界を、学校生活を送れたのは楽しかった。でも、こんなに空しくなるなら―」


「フン、やはり頭が回るならそれだけ洞窟から引きずり出すのにも苦労するな。駄々をこねる子供みたいだ」


「そうよ、子供よ」


「はぁ、この手を使いたくはなかったのだがな」


「へ?」



何が起こったかわからなかった。


急に振り向かされたと思ったら、キス?キスされているの?



バッチーン



「クハハ、やはりいきいきとしているではないか」


「なっ!?なな、なっ!?」


「視力だのどーのこーの言っているが、それはあまり関係ない、人生の出で立ちだ。見ろ、彼彼女らは今幸せを手に入れている、奇跡と共に。そして、いずれ奇跡の時間は過ぎてその代償を払う」


「だから、だから今の都道関係が!」


「駄々こねるガキには強引にでも呪いから奇跡にした方が早いと思ってな、クヒヒ」


晴天の下、死神君は醜悪で朗らかな笑顔を披露する。


「君も落ちてもらわねばいけないなら、私が適任だと思ってな。フラグを立てるのは楽しかったしな」

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