第157話 王都ヴァイエル 冒険者ギルド南西支部
俺を胡散臭そうに見る受付嬢に、苦笑いしながら言葉をかけた。
「まあ、実力はサテオキ、魔石は本物だから。ほい、もう一つずつ。これで50万Gになるかな。一部は銀貨と銅貨も混ぜて欲しい。あとダンジョン硬貨は両替できる?」
「ええっと、少々お待ちください」
そういって、受付嬢は横にいる職人に声をかけ手招きをした。
「パーシス、魔石の買取精算を。トーマス、ダンジョン硬貨の相場表を持ってきて。さて、どちらのダンジョンの硬貨ですか?」
「スライムダンジョンと、湿地ダンジョン。場所は生まれ故郷の近くにあるんだ。この近くじゃないけどいいかな、推奨レベル30~50くらいのダンジョンだから高額硬貨じゃなくて申し訳ないけど」
20枚入りの硬貨袋を3つ取り出し、カウンターの上に置いた。
「確かにダンジョン産の硬貨袋ですね、中身を確認いたします、少々お待ちください。トーマス計算して」
こちらは冒険者ギルドの登録口座へ入金して欲しいと伝えた。
背後から
「ああ、そうそう、
「
「いいよ。特にランクは拘っていない」
それでは、こちらの鑑定魔道具に手を乗せてください。と受付嬢に云われ三人が順に手を置いた。
「ファリナに云われて以来の魔道具だな、懐かしい」
「本当ね、これって、魔力量を測っているの?それともレベルやステータス表示?」
「レベルと魔法と称号ね、ギフトとスキルは表示されないわ」
「ふーん、ってレベルも出るのか」
「不味くない?」
「99までしか特定できないタイプだから、Errorになるかな」
おそらく戯言を云っていると思っているのだろう、受付嬢も苦笑いしている。
「ビッグマウスは新人冒険者の特権だから」
「そうですね」
受付嬢が俺のボケに同意してくれた。話が分かる嬢で良かったよ。
案の定、レベルはエラーとなった。ギフトやスキルは表示されないらしい。魔法と云えばどんな風に見えるのだろう。自分の左胸を触ってステータス上の魔法を確認した。
▽ステータス ベルン
生活魔法:コンプリート
攻撃魔法:マジック・ランス、火炎
防御魔法:マジック・シールド
回復魔法:回復
補助魔法:地図記憶、探知、地中探索、欲情
生産魔法:製糸
付与魔法:結界、不壊、塗装
まあ、これくらいの情報なら漏れだしてもいいか。
「えっと、称号がありますね、ギャングスレイヤー。魔法も一通りですか」
「あー、あったかな」
「そちらのお二方もお乗せ下さい」
アイリーもファリナもレベルエラーになった。これ再計測はしなくていいのか。
▽ステータス アイリー
生活魔法:裁縫、計算、看破、着火、浄化
攻撃魔法:ファイア・バレット 火炎
防御魔法:ファイア・ウォール
回復魔法:回復
補助魔法:地図記憶、探知、地中探索、欲情
生産魔法:製糸
付与魔法:不壊、染色
▽ステータス ファリナ
生活魔法:ウォッシュ、水滴、ライト、縫製、クリーン、浄化
攻撃魔法:ウォータ・ボール、火炎
防御魔法:ウォータ・ウォール
回復魔法:回復
補助魔法:探知
生産魔法:製糸
付与魔法:染色、不壊
「お二方もギャングスレイヤーの称号持ちですか。魔法もなんだか、はあ、そうですか」
「そうだったかな」
「見つけ次第、倒したからじゃない?」
隣の依頼達成報告をしていた冒険者たちがこちらを振り返った。値踏みするような視線だ。
「はあ、まあいいでしょう、レベルは変動するものですから、特に報告の必要はありません。お二人もCランクでよろしいですか?」
「ええ、お願い」
「いいよー」
「では、50万Gを現金で、ダンジョン硬貨は冒険者ギルドの
「ああ、
「はい、かしこまりました。お三方ともですね」
なぜ三人とも木剣なのかしら。そんな呟きが嬢から聴こえてきたので、文無しだったんだ。と小さな声で答えておいた。
登録が終わった。ダンジョン硬貨は1000万Gずつだと云う。ロルヴァケル王国の相場と同じだった。これで当面この国での活動資金は不安なく過ごせそうだ。冒険者プレートのネック型タグを受け取った。
アイリーとファリナの首につけ、自分の首にはアイリーにつけてもらった。
「近くでお勧めの宿屋はあるかい?女性二人いるから高級でいい感じのところ」
「この辺りは冒険者向けの宿屋が中心です。第三城壁内ですと貴族用の宿屋と商人用の宿屋は在りますが、少し距離があります」
「冒険者向けでいいよ。貴族街には用はないから。馬が留められるところがいいんだ」
「では、ここから500メートルほど西へ進んだところにフェアリーの祝福という宿があります。一泊ひとり一万五千Gですが、問題なさそうですね」
「10日で45万Gか、問題ないな。そこは
「ええ、高級宿ですから問題ありません」
それは良かった。受付嬢の名前をファリナが訊ねていた。アイリスというらしい。次からは依頼の窓口か達成窓口と素材買取の窓口に行くので、新規登録担当の彼女とは会話することもないだろうから名前を尋ねなかったのだが。あの感じだと主任とか役付きなのかな。
要件が終わったので、礼を告げギルドを出ようとしたところ後ろから声を掛けられた。
「おい、アンタら待ちな」
おや?この国に知り合いはいないはずだが。
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